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Saturday, June 25, 2022

ウクライナ 「欧州の一員」へ踏み出した - 読売新聞オンライン

 ロシアの侵略を受けているウクライナが、欧州に迎えられる一歩を踏み出した。しかし、欧州連合(EU)加盟を実現するには、いくつもの課題を解決しなければならない。

 EUが首脳会議で、ウクライナとその隣国モルドバをEUの「加盟候補国」として承認した。

 ウクライナが加盟を申請したのは、ロシアの侵略開始直後の2月末、モルドバは3月だ。候補国の承認手続きは通常、数年かかる。特例扱いのスピード承認は、両国に対するEUの連帯と支援を示す象徴的なメッセージと言える。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は「歴史的で特別な瞬間だ。ウクライナの未来はEUの中にある」との声明を出した。ロシアと戦っている国民を勇気づける効果は大きいだろう。

 ただ、実際に加盟を実現するには、民主主義や人権、法の支配を保障する安定した制度を持つことや、市場経済が機能していることなど、EUが求める基準を満たさねばならない。

 ウクライナは汚職体質を長く批判されてきた。様々な改革を進めて、本格的な加盟交渉の開始にたどり着くだけでも、数年はかかるとみられている。戦禍から復興し、EU内で競争できる経済力を備えるのも容易ではあるまい。

 EUは今回、ウクライナへの最大90億ユーロ(約1兆2800億円)の財政支援や、穀物輸出ルートの確保を後押しすることを決めた。安定した支援を継続して実施できるよう、EU各国が結束を維持することが重要である。

 侵略の長期化に伴い、対露外交や停戦のあり方を巡り、EU内で意見の違いが露呈している。

 ドイツやフランスは、プーチン露大統領を過度に追い込むべきではないとし、対話を通じて早期停戦を図る姿勢が目立っている。

 一方、ロシアに近接する東欧のポーランドやバルト3国などは、安易な停戦はロシアの支配地域拡大を既成事実化し、さらなる侵略につながりかねないとして警鐘を鳴らしている。

 プーチン氏にこうした温度差につけ込まれることがないよう、関係国は調整を進めるべきだ。

 今月のフランス下院選では、極右と急進左派がマクロン政権への不満票を集めて躍進し、与党は過半数を維持できなかった。

 侵略と対露制裁に伴う物価上昇は各国共通の課題だ。エネルギーの代替輸入先の確保や低所得層への支援策などを通じ、国民への打撃を緩和しなければならない。

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