現在、世界の温室効果ガス排出の3.4%の原因となっているプラスチック。このまま何も手を打たなければ、プラスチックの生産量は2050年までにさらに3倍以上に増加する可能性があるといわれています。プラスチックの生産を75%削減する国際目標を2040年までに設定し、プラスチックの時代を終わらせるため、今こそ力強いプラスチック条約を求めましょう。
地球を気候危機から守る二度とないチャンス
数字は何よりも雄弁です。世界のプラスチック生産量は20年前の2倍にも膨れ上がり、年間にすると4億6,000万トンに達しました。今現在、すでに世界の温室効果ガス排出量の3.4%がプラスチックに起因しています*。
将来的に状況はより深刻になると考えられていて、このまま何も対策を講じなければ、プラスチック生産量は2050年までにさらに3倍近くに増加するという予測が発表されました*。こうなると、平均気温の上昇を1.5°C以内に抑えるために地球に残されたカーボンバジェット*の13%以上を消費してしまうと考えられています。
*カーボンバジェット 炭素予算。気温上昇を一定レベルに抑えるために上限とされる温室効果ガスの累積排出量。
無計画で制御されることのないプラスチックの生産は、気候変動*、環境汚染、生物多様性の損失*という三重の地球の危機を加速させ、想像を絶する規模で人間の健康を脅かし*、世界中で人種、ジェンダー、経済的不平等を拡大させています*。
11月13〜18日までの期間にケニアはナイロビで、国際的に法的拘束力を持つ「プラスチック条約」の内容を話し合うための第3回目の国際会合(INC-3)*が行われることをご存知ですか?
ようやく9月に公表されたプラ条約の草案を、初めて議論する場となるINC-3の開催を目前に控え、世界のリーダーたちにこの事実としっかり向き合ってもらう必要があります。
気候危機による最悪の事態を回避するたった一つの方法は、プラスチックの生産量を大幅に削減するために生産を規制する国際的なルールを敷くことです*。もしも彼らが、誤った道を選択してしまえば、それは私たち全員にとっての取り返しのつかない損失となります。
プラスチックの生産は少なくとも75%削減する必要がある
プラスチックを気候にまつわる側面から見ると、有効かつ最善の選択をするために、2050年までにその生産のうち最低でも75%を削減する必要があることがわかります。
それができなければ、平均気温の上昇を1.5℃に抑えることも、地球温暖化による最も悲惨な影響から逃れることもできません**。
私たちが生きているのは急速な温暖化が進んでいる惑星です。最近発表された気候変動に関する報告では、気温上昇を1.5℃までに抑え得る可能性が急速に閉ざされつつあることが述べられました*。地球の上に生きるいのちを守るために、世界はもっと、もっともっと早く行動する必要があるのです。
2040年までにプラスチック生産を少なくとも75%削減するという目標を世界共通で掲げる必要があります。
この目標は、各国が気候対策における目標を達成するのに役立つだけでなく、新しい雇用をうみ出し、革新的な変化のきっかけとなるでしょう。環境を汚染することなく、リデュース・リユース・リサイクルを中心にした経済*を低炭素で実現させ、本当の解決に向けた前進を可能にするのです。
不平等を解消する条約内容を
当然のことともいえますが、化石燃料産業界は、気候変動に関するシナリオを上手く使って、短期的な利益を餌にすることで、各国政府が自分たちに有利な決定をするよう促しています。
石油、ガス業界とつながりのあるコンサルタントが、プラ条約交渉のための情報提供を目的とした報告書を何本か発表していて、それらは業界の狙い通り注目を集めました*。
彼らがやろうとしているのは、プラスチックの生産規制に取り組む必要性を軽視させて、これまで通りの事業を守ることです。「これまで通り」は世界全体の失敗を意味します。世界のリーダーたちは、産業界からの危険な誘惑を拒否しなければなりません。
気候変動の不平等な影響はすでに起きています。現在、気候危機において最も大きな代償を払わせられているのは、これまで、多くの先進国に比べて温室効果ガス排出への寄与が少なかった国の人々です。できるだけ早く公正な移行を行う必要があります*。
グリーンピースは、数十年にわたる気候のための活動経験から、そのためには、野心的で世界的に合意されたプラスチック生産規制のルールが必要不可欠であることを知っています。
プラスチックの時代を終わらせるために、必要なものは?
9月4日に国連環境計画(UNEP)が、プラ条約の策定に向けて「ゼロ・ドラフト」と呼ばれる条約の草案を公表しました*。草案にはプラスチック生産に関する野心的な世界的な削減目標を設定するために必要となる基本的な法的枠組みが含まれています。必要とされているのは、残すところ野心的になる勇気だけです。
野心的なプラ条約を世界中の何百万人もの脱プラスチックを望む人々とともに後押しし、必ず実現させましょう。私たちは力をあわせることでプラスチックの蛇口を止め、プラスチックの時代を終わらせることができるのです。
国際プラスチック条約は、プラスチック危機、そして気候危機を解決するためのこれ以上ない、そして二度とは訪れないチャンスです。
「国際プラスチック条約」で
使い捨てにさよなら
続けて読む
▶︎効果的な「プラスチック条約」実現にむけ、シンポジウムを開催
▶︎「私たちのカフェ調査」スターバックスとタリーズのリユース率は?
▶︎【やってみた】プラスチックをなるべく使わない生活をしてみた結果
からの記事と詳細 ( 2040年までにプラスチックの生産を75%減らさなければならない ... - greenpeace.org )
https://ift.tt/29KWDER
No comments:
Post a Comment