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Saturday, April 25, 2020

自社で内製化すべきか、外部発注するかを判断する方法 - ダイヤモンド・オンライン

入山章栄

いりやまあきえ

[早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授]

慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。

三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。

2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。

著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。

 

<『世界標準の経営理論』書籍紹介>

世界の経営学では、複雑なビジネス・経営・組織のメカニズムを解き明かすために、「経営理論」が発展してきた。

その膨大な検証の蓄積から、「ビジネスの真理に肉薄している可能性が高い」として生き残ってきた「標準理論」とでも言うべきものが、約30ある。まさに世界の最高レベルの経営学者の、英知の結集である。これは、その標準理論を解放し、可能なかぎり網羅・体系的に、そして圧倒的なわかりやすさでまとめた史上初の書籍である。

本書は、大学生・(社会人)大学院生などには、初めて完全に体系化された「経営理論の教科書」となり、研究者には自身の専門以外の知見を得る「ガイドブック」となり、そしてビジネスパーソンには、ご自身の思考を深め、解放させる「軸」となるだろう。正解のない時代にこそ必要な「思考の軸」を、本書で得てほしい。

『世界標準の経営理論』購入はこちらから 

  • 世界標準の経営理論

    世界の経営学では、複雑なビジネス・経営・組織のメカニズムを解き明かすために、「経営理論」が発展してきた。

     その膨大な検証の蓄積から、「ビジネスの真理に肉薄している可能性が高い」として生き残ってきた「標準理論」とでも言うべきものが、約30ある。まさに世界の最高レベルの経営学者の、英知の結集である。これは、その標準理論を解放し、可能なかぎり網羅・体系的に、そして圧倒的なわかりやすさでまとめた史上初の書籍である。

    本書は、大学生・(社会人)大学院生などには、初めて完全に体系化された「経営理論の教科書」となり、研究者には自身の専門以外の知見を得る「ガイドブック」となり、そしてビジネスパーソンには、ご自身の思考を深め、解放させる「軸」となるだろう。正解のない時代にこそ必要な「思考の軸」を、本書で得てほしい。

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Photo:iStock

入山章栄氏の最新刊 『世界標準の経営理論』は発売から1カ月で5万部を突破し、なおも好調な販売が続いている。800ページを超える本書は、約30の経営理論を網羅する。内容は章ごとに完結しており、いつ、どこから読んでも良い。ビジネスに関わる全ての人が、辞書のように利用できる。

取引費用理論(transaction cost theory あるいはtransaction cost economics:以下TCE)は、人の将来を見通す認知力の限界を前提に、企業に不測の事態が起こったとき、いかにコストをコントロールするかを思考する際の道標になる。現状のコストが適正か、それとも高すぎるのかを判断し、もし市場取引で発生するコストが適正でなければ、対象事業や企業を買収などの手段で、取引を企業内に取り込む「内部化」という選択がある。

入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。 三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。 2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。 著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。
Photo by Aiko Suzuki

外注と内製、最適な判断をするために「取引コスト」を見極めよ

 TCEの目的は「ビジネス取引における最適な取引形態・ガバナンスを見いだすこと」にあった。ここで言うガバナンスとは、第一義には「市場取引か、企業への内部化か」の選択のことである。その判断に重要なのが市場での取引コストなのだ。

 もちろんビジネスでは、人件費・製造原価のような実際の「製造コスト」も重要だ。米企業がコールセンターをインドに外注するのは英語が話せて人件費が安い労働者が多くいるからだし、日本メーカーがアジア企業に製造を外注するのも似たような理由からだ。

 他方で、そのような市場ベースの取引には、実は取引コストが多大にかかっている可能性がある。先の3条件(不測事態の予測困難性、取引の複雑性、資産特殊性。詳細は前回を参照)が高ければ、取引コストは製造原価の安さを相殺する以上にもなりうる。企業はそのバランスの中で「外注か・内製か」の最適な判断をすべき、ということなのだ。

TCEは「なぜ企業が存在するか」を説明する

 そしてさらに、この議論を突き詰めると、TCEは「企業とは何か」ということまでを説明できる。図表3を見ていただきたい。バリューチェーン上において、企業には自社内で取り込む(内部化する)部分と、外部から調達したり顧客に売ったりする市場取引の部分がある。この内部化された部分が、TCEで説明する「企業の範囲」になる。

 例えば、もし外注によって市場取引している図表3の「調達」部分の取引コストが、外注による原価減少等のメリットよりも大きい(外部化による取引コスト>外部化による原価減のメリット)なら、その「調達」部分は企業に内部化した方が効率がいいことになる。この場合、「企業の範囲」は川上方向に伸びる(川上への垂直統合)。もしその逆(外部化による取引コスト<外部化の原価減のメリット)なら、外注したままの方が効率がよいので、企業の範囲は変わらない。

企業の存在とは、市場における取引コストが高い部分を内部に取り込んだもの

 このようにTCEの視点からは、「企業の存在とは、市場における取引コストが高い部分を内部に取り込んだもの」となるのだ。この視点を提示したのが、ロナルド・コースだ。彼が1937年に発表した“The Nature of the Firm”という論文は、現代の経済学・経営学ではあまりにも有名である。

 従来の古典的な経済学、例えば本書の第2章で紹介した完全競争では、「市場には無数の小さい生産者(企業)が存在する」と仮定されていた。すなわち古典的な経済学では企業の大きさは概念上「ゼロ」であり、したがって、そもそも「なぜ企業が存在するか」が説明できない。

 それに対して取引コストという概念を導入したTCEは、「市場の対極にいるのが、企業である」と主張したのである。なお、TCEではこの市場の対極の概念のことをハイラーキー(あるいはヒエラルキー)と呼ぶ。本稿でも以降はハイラーキーという表現を使っていく。

 図表4は、TCEを応用した経営学研究の主要トピックをまとめ、代表的な実証研究をそれぞれ2〜4本ずつだけ紹介したものだ。冒頭でも述べたようにTCEの応用範囲はあまりにも広く、この図表だけではとうていすべてをまとめ切れない。逆に言えば、TCEは現実への応用可能性が非常に広く大きい。ぜひ皆さんの「思考の軸」として活用していただきたい。

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April 26, 2020 at 02:59AM
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