Pages

Saturday, July 15, 2023

ビットコインETFを望むなら、それに伴う結果も受け入れなければならない - コインデスク・ジャパン

ビットコインETFを望むなら、それに伴う結果も受け入れなければならない

米証券取引委員会(SEC)は、最近相次いだビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)申請は明確さと包括性に欠けるため不十分と考えている、とウォール・ストリート・ジャーナルは2週間程前に報じた。

SECは、もとの提出書類に記載されていた監視共有協定(SSA:Surveillance-Sharing Agreements)について、さらに実施する取引所の名前を提出書類に記載することを求めた。SSAは、ビットコインETF発行を望む企業がビットコイン市場における詐欺や操作を検知できることをSECに示す仕組みだ。

申請書類にSSAについて具体的に加えることが、アメリカでついにビットコインETFを承認させる鍵になると広く考えられている。一部のアナリストは(既存の先物ベースのETFとは対照的に)ビットコインの現物市場価値と連動するETFは、ビットコインのより広範な機関投資家への普及につながると予測している。

申請企業の多くはSECの要求に素早く反応し、ビットコイン市場の監視を担当する取引所としてコインベース(Coinbase)の名前を挙げて再申請した。表面的には素晴らしい選択だ。コインベースは上場企業であり、他の暗号資産(仮想通貨)取引所に比べれば、怪しげな評判ははるかに少ない。

しかし、コインベースは本当に正しい選択なのだろうか? 実はそうではないかもしれない。

コインベースが正しい選択かどうかは重要ではない

ビットコインETFは、発行を目指す複数の企業からの申請がSECによって繰り返し却下されている。これまでSECは、却下はSSAのようなものの欠如が原因の一部だと述べていた。過去の却下理由によればSECは、ETFが上場される証券取引所と、1)かなりの規模を持ち、2)規制を受けたビットコイン現物取引所との間で情報共有協定が結ばれることを望んでいる。

前者について言えば、コインベースは最大のビットコイン現物取引所ではない。CoinGeckoとCoinMarketCapのBTC/USD取引ペアのデータによると、現在、世界の1日あたりの取引高の約2.5%を占めている。ただしここでは、細かい部分は無視している。ビットコイン取引所の取引高には、暗号資産を含め、多くの通貨間との取引ペアも含まれるからだ。

それでも、コインベースの1日あたりのBTC/USD取引に相当するおよそ4億ドル(約560億円)は、おそらく市場を「監視」するために十分だろう。

しかし、正直に言って、問題はおそらくそこではない。

むしろSECは、コインベースが「規制されている」かどうかという解釈に基づいて、最近のETF申請を承認、または却下する可能性が高い。

SECと法廷で争っているコインベースが、ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fideity)のようなウォール街の大手企業のための市場監視役として提案されたことを知ったSECは大喜びしただろう。提訴は、ビットコイン市場とは無関係だが、それでも考慮の余地はある。

問題は、コインベースがこの役割にふさわしいかどうか少しはっきりしない点にある。

Coindeskのニキレシュ・デ(Nikhilesh De)記者が指摘したとおり、SECは2019年の指示書でビットコインは市場操作の可能性が非常に高いため「操作を防止するために、『原資産に関連する規制を受けた、かなりの規模の市場との監視共有協定』が必要」と述べている。

関連記事:2023年はビットコインETFの年になるか?

残念ながら、「規制を受けた市場」と「かなりの規模」の厳密な定義は存在しない。そう、不明確だ。

現在のETFに関する議論の中で重要なのことは、コインベースが適切なデータ提供パートナーとしては確実ではないということだ。

SECの権限が強まる恐れ

残念ながらこの議論の自然な流れは、情報共有協定を通じて、監視を次のレベルに引き上げる方向に流れていくだろうということが現実だ。

CoinDeskのイアン・アリソン(Ian Allison)記者は次のように指摘した。

「SECの決定に影響を与える可能性が一段と高いのは、情報共有協定であり、この協定によって権力の立場が逆転し、規制当局に追加の背景情報を要求する権利が与えられる」

こうなってくると、話が変わってくる。

情報共有協定は、監視提供企業が規制当局に「すべてOKです、船長!」と報告することよりも先に、SECがエンドクライアントのビットコインETFの取引履歴に関する具体的な情報を要求することを可能にする。

決定的なことは、情報共有協定には、顧客の名前や住所といった個人情報も含まれる可能性があること。これは、暗号資産業界のプライバシー擁護者にとっては、良い知らせではないだろう。しかしこれは、ビットコインETFを市場にもたらす、あるいは暗号資産を金融化することに伴う、まったくもって当然の結末でもある。

厳格に規制されたビットコインプロダクトがお望み? これが望んでいた規制の姿だ。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Want a Spot Market Bitcoin ETF? Then Deal With the Consequences

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( ビットコインETFを望むなら、それに伴う結果も受け入れなければならない - コインデスク・ジャパン )
https://ift.tt/YtxeN5W

No comments:

Post a Comment