国会のオンライン審議は、今国会で実現に向けた議論が始まったものの、導入時期の見通しは立っていない。法律や設備の整備など越えなければならない課題が山積しているためだ。新型コロナウイルス感染症が確認されてからすでに8国会目を迎えている。海外ではオンライン審議の導入が進んだが、日本はいまだ議論の途上にある。
熱心な小泉氏が音頭
「国会が早く変わるよう、次につながるきっかけになればいい」
衆院環境委員会理事の小泉進次郎前環境相(自民党)は5月31日、同委員会のオンライン勉強会後、記者団にこう語った。勉強会は国会改革に熱心な小泉氏が音頭を取る形で実現した。与野党合意の下、委員会活動として衆院施設を使った初の試みで、有識者からヒアリングを行った。
ただ、あくまで非公式な会議との位置づけで、与野党議員が閣僚らに質問する本格的なオンライン審議は、ルールが整っていないため、まだ開くことができない。
国会のオンライン審議はこれまで、議員の物理的な出席を求める憲法56条が壁となってきた。だが、2022年2月の衆院憲法審査会では、自民や国民民主など多くの会派からオンライン審議に前向きな意見が相次いだ。感染力の強い新型コロナのオミクロン株による感染者の急増も影響したとみられる。
英国など速やかに導入……差は歴然
「出席」の概念をめぐって議論を重ねた衆院憲法審は、緊急事態発生時などに例外的に「オンラインによる出席も含まれる」と解釈できるとの見解をまとめ、細田博之議長に報告した。参院も憲法審や参院改革協議会で議論を重ねた。
もっとも、オンライン出席を認める緊急事態の定義や具体例、さらに議員に質問や表決などの権限をどこまで認めるかなど、決めなければならない課題は細目にわたる。現行憲法下でオンライン審議を可能とするためには、衆参の議院規則や国会法などの改正、国会の設備改修が必要となる。
しかし、今国会では論点整理にとどまっており、踏み込んだ議論にはたどり着いておらず、実現への道のりは険しい。
英国などの海外では2年前の新型コロナの感染拡大直後、速やかに導入されており、日本との差は歴然としている。参院の重鎮議員は「日本の国会はすべてにおいて遅い」と嘆いている。(今仲信博)
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