劇作家・作家の井上ひさし(1934~2010)が若き日に執筆したとみられる未発表戯曲の生原稿が見つかった。筆の勢いが感じられるピカレスク(悪漢)物で、他の戯曲との共通点や後の小説につながる内容など、作家の作品世界の広がりを知ることができる貴重な資料だ。
15日に放送されたテレビ東京系「開運!なんでも鑑定団」で、俳優だった男性が四十数年前にある演出家から譲られたという原稿が紹介され、専門家によって本物の未発表戯曲と確認された。鑑定額は300万円だった。
戯曲はA4判の原稿用紙162枚にわかりやすい字で書かれており、所々に推敲(すいこう)して直しを入れた部分も。冒頭ページの表紙には題名「うま――馬に乗ってこの世の外へ――」と、作者名が本名で「井上廈」と記されている。
戦国時代の1560年代、作家の故郷である羽前の国小松郷(山形県川西町)を舞台に、主人公の小作人・太郎が減らず口をたたき、金持ちの馬地主や和尚から金をかすめ取っていく様を全5景で描く。民話調の世界で、登場人物の生き生きとしたせりふから人間の情念と機知、世の中の矛盾が浮かび上がる。
井上文学に詳しい今村忠純・大妻女子大名誉教授は番組の放送前にこの生原稿の内容を確認した。取材に対し、本物だとしたうえで、1958年に芸術祭脚本奨励賞を受けたものの当時は未上演だった戯曲「うかうか三十、ちょろちょろ四十」との関連を指摘する。「たとえば地主と小作人のような使う者と使われる者の力関係の構造がよく似ており、権ずやちかという登場人物の名前も共通しています」
井上は当時、上智大に通いな…
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