明けましておめでとうございます。昨年はコロナ禍に加え、私の古里は熊本豪雨で大変な被害を受けました。2021年は、災厄から脱し、平和な日常が戻ることを願ってやみません。
私は神奈川県の三浦半島でカヌースクールを開いている。昨年はコロナの影響で、子どもたちと思うようにカヌーを楽しむことができず、自粛期間中の夏休みには一人一人にはがきを出し、大事なことを伝えた。
「1945年8月15日、日本は太平洋戦争に敗れ、君と同じ年の私は学校もなく、その日の食もなく、おなかをすかせているのは私だけではありませんでした。国も植物も動物も常に外敵とのせめぎ合いの中で生命を維持していることを君たちはよく考えてください。お母さんやお父さんに孝行し、きょうだい仲良く、友と語らい、書を読み、健康な体と心を鍛え続ければ、平和で楽しくカヌーをこげる日が必ず来ます」
コロナ禍で延期となった東京五輪は今夏開催される運びだ。私も1964年の東京五輪にカヌー日本代表の主将として出場した。当初はハンドボールで出場を目指していたが、五輪種目への採用が見送られ、本番のわずか3年前にカヌーに転向し、ゼロから代表の座を勝ち取った。
横浜市消防局時代には初代体育訓練担当課長として全国に先駆けて職員の体力向上を図るカリキュラムを作り、現在は全国に普及している。たとえモノがなくても自分の頭で考え、工夫する。生まれ育った八代市坂本町で培ったものが私の血となり肉となっている。
結局、何をやるにしても体が資本。体を丈夫にするために工夫し、吟味し、鍛錬を積むのは当たり前のこと。だが、そこには心が伴わなければいけない。
「人は心[しん]、花(アスリート)は芯[しん]」-。目を引くあでやかな花弁も、それを生み出す芯があってのこと。それは時代をつくっていくもので、そこに種子が生まれ発展していく。人も同じだ。心の伴わないスポーツや教育は成り立たない。一般の人は心優しくあってほしい。そしてアスリートは芯がしっかりしていなければならない。これが私のコーチングの根底にある。
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日本のカヌー界を引っ張ってきた本田大三郎さん(85)は、サッカーの本田圭佑選手の大叔父としても知られる。球磨川とともに育った少年時代や波乱の競技人生、指導者としての奮闘ぶりを語ってもらいます。(担当・梅ケ谷昭人)
からの記事と詳細 ( (1)芯がしっかりしていてこそ - 熊本日日新聞 )
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