春はお別れの季節です。みんな旅立って行くんです-。
卒業シーズン。同世代の高校3年生の中でも特に、その未来が注目されているのが、花巻東の佐々木麟太郎内野手である。
「高校史上最多の通算140本塁打」という枕詞が、あらためて凄い。高校野球に関わる人なら理解いただけると思うが、練習試合であろうと高校生が本塁打を打つのは、とても難しい。ほとんどの選手は「高校通算0発」で競技生活を終える。
そんな破格の数字を残した麟太郎選手にとって、高校野球とはいったいどんなものだったのか。
卒業式の後、聞いてみた。
* * *
「僕は高校野球って、プロ野球よりプロフェッショナルでなければならないって思っているんです」
いきなり粋な言葉。この「会話が面白い」感じ、既視感がある。西武担当時代に取材させていただいた、同校OBの菊池雄星投手が、まさにそんな人だった。
麟太郎選手は続けた。
「負けたら終わりの一発勝負という世界。負けられないというプレッシャーを味わいながら、自分自身も戦ってきました。走塁、守備、攻撃、戦略について、ワンプレーのエラーやミスが勝敗を分ける。だから本当に野球を究めて、プロフェッショナルじゃなければならない。究極をやらなきゃ勝ち上がれない。高校野球の良さは、そこなんじゃないかなと思います」
仲間と思いを一つに、「野球を究める」ことを目指した3年間。必死にやれたからこそ、言える言葉なのだろう。
麟太郎選手はこの日、自身の高校生活を振り返り、こうも言った。
「失敗の連続でした。大きな失敗を何度も繰り返しましたし、それを変えるために苦しみながら、自分自身と向き合ってきました。とにかく挑戦なので。失敗にもこれからどんどん立ち上がって、食らいついていくことだけを考えていきたい」
生前の野村克也さんは口癖のように、「失敗と書いて『せいちょう』と読む」と話していた。
失敗はチャレンジした証拠。何もしなければ、そもそも失敗はしない。そして失敗こそ、若者の特権に他ならない。
この3年間、「プロフェッショナル」に勝利を目指した経験を胸に、進学するスタンフォード大でどんな「せいちょう」をしていくのだろうか。
新しい季節。前例なき挑戦が始まる。(編集委員・加藤 弘士)
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