照山裕子・口の保健室<21>
歯周病の検査は、歯周ポケットの深さを測り、触った際に歯ぐきからの出血があるか、エックス線写真によって歯を支える骨(歯槽骨)がダメージを受けていないかといった項目を調べます。歯の周りの汚れや歯石の沈着も確認します。歯周病の程度を把握するとともに、歯科医院で行う治療内容を個別に組み立てていきます。
普段の歯磨きで取り切れないプラーク(歯垢=しこう)がたまると、体がそれを異物と認識し排除しようとする防御反応が働くので歯ぐきが腫れます。転んで膝を擦りむいたら、腫れたり痛んだり、時には膿(う)んだりしますが、仕組みは全く同じです。傷口から入った異物に対して、退治しようとする白血球がやってくるのです。皮膚にできた傷はやがて乾燥し、かさぶたができます。治りが視覚や触覚でわかるのに対し、口の中は常に湿っている状態で目にも見えません。擦りむいた膝に、また汚れやばい菌を擦り込む人はいないと思いますが、歯周病が起きている患者さんは知らず知らずのうちにその状況を作り出しています。
回復させるためにまずは何をすべきかというと、傷が早く治るよう、体にとって外敵となる汚れを丁寧に取ってあげることがマストになるのです。ときどき「次回は半年後で」とか「痛くなったらまた来るよ」といってご自身で次の予約を決めてしまう患者さんがいますが、歯石除去は歯ぐきが健康な状態になるための手助けをしているだけで、実際に体を治すのは患者さん自身なのです。
ブラッシングが的確に行え、回復が計画通りに進んでいるかを一定のタームで観察しなければ、私たちは次のアドバイスができません。これが、継続して通っていただきたい理由のひとつです。
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