【画像】ピーチ姫、ルイージ、クッパ、キノピオ、ドンキーコングのキャラポスも
“マリオの生み親” で任天堂代表取締役フェロー宮本茂氏が「“ゲームが好きな人を裏切らない”、そして“ゲームを知らない人も楽しめる”、これをうまく詰め込んだ、エンターテイメントになりました」と、語っていた通りの評判だ。
『怪盗グルー』『ミニオンズ』『SING/シング』シリーズのイルミネーションらしいアクションとユーモアに満ちた映像表現を用いて、まるでマリオのゲームをしているような感覚で楽しめるアクション・ファンタジーであり、兄弟の絆と等身大の青年の成長を描いた物語としても楽しめる本作。
共同プロデューサーの宮本氏とイルミネーション最高責任者(CEO)クリス・メレダンドリ氏へのインタビュー時、宮本氏はとあるシーンについて、伏線となっているシーンがあることを教えてくれたのだが、冗談交じりに「5回観るとわかる」と言っていた。逆に言うと5回くらい観ないとわからないくらい巧妙な仕掛けがあるという自信の表れだ。少なくとも3回以上は観なければならない理由を挙げてみたい。
■ゲームの要素がこれでもかというほど詰め込まれている
宮本氏は「僕は任天堂をタレント事務所と呼んだりしているのですが、その中のマリオ劇団のメンバーに出てもらったという体でやっています」という本作。マリオ、ルイージ、ピーチ姫、クッパ、キノピオ、ドンキーコングといったストーリーを動かす“メインキャスト”のほかにも、『レッキングクルー』(1985年)で「いじわるおじさん」としてマリオに立ちはだかったスパイク(ブラッキー)がちょい役で登場したり、「『〇〇』のゲームの□□が△△に描かれている」といったカメオ出演があったり。
実は、本作の監督を務めたアーロン・ホーヴァスとマイケル・ジェレニック、そして脚本家のマット・フォーゲルは、もともとマリオのゲームの大ファン。宮本氏も「彼らに初めて会った時、マリオのゲームにとても詳しく、ゲームシリーズに対する愛情を感じた」と全幅の信頼を寄せている。
制作にあたり、監督たちは「まず、ゲームとそのデザインを調べて、すべてのスーパーマリオのゲームに共通するデザイン要素を見つけることから始めた」(ホーヴァス監督)という。宮本氏も「ファンが望むのはどんなシーンか、膨大なキャラクターの中から誰を作品に登場させるべきなのか、非常にたくさんのテーマを議論した」と話していた。そうして、監督たち・脚本家たちはゲームから多くの要素を引用し、1時間30分の映画に詰め込んだのである。
そして、ゲームの要素は目視するだけでなく、耳からも入ってくる。本作には、任天堂の近藤浩治氏が制作したゲーム曲やおなじみの効果音がちりばめられている。
加えて、映画のために作られた新たなマリオの音楽にも耳を傾けたい。本作の音楽を制作したのは、100本以上の長編映画で音楽を手がけ、高い評価を得ている作曲家のブライアン・タイラー。彼もまた任天堂のゲームが大好きで、ゲーム音楽の作曲の経験もあり、新しい楽曲にオリジナルのマリオのゲームで使用された8ビットサウンドを巧みに取り入れることにも成功している。マリオをはじめ任天堂のゲームが「画面と音をマッチさせる」といったことにこだわってきたように、今回の映画にもその精神が貫かれた。
おそらく、繰り返しこの映画を観るたびに、ゲームの要素を発見し続けることになるのではないだろうか。
■キャラクターが魅力的で、何度も会いたくなる
映画化するにあたって、クリス氏は「マリオたちにはリアルな感情があり、家族がいて、希望や欲望、悩みを持った普通の人間であると観客に感じてもらえるようにすることが最大のチャレンジでした」と語っており、その挑戦は、ゲームを知らない人、マリオを知らない人も含めて、誰もが楽しめる作品にするために必要なことでもあった。監督たちも「この映画は人生について、そして家族について描いている」(ジェレニック監督)、「最も重要なテーマは忍耐だ」(ホーヴァス監督)とコメントしている。
映画のために新しいキャラクターはできるだけ作らない方針だったそうだが、マリオとルイージの両親、家族が登場したのはこの映画のサプライズの1つだ。マリオとルイージを「おじさん」だと思っていた人も多いかもしれないが、ニューヨークのブルックリンで家族と暮らす20代の双子の兄弟。マリオは、勇敢で優しい典型的な“お兄ちゃん”で、ルイージと新たに配管工の仕事を始めるが、親に認めてもらえない葛藤を抱える青年として登場する。そして、思いがけず魔法に満ちたキノコたちの国へ迷い込んでしまうのだ。
ルイージは「工事現場を突っ切るシーンがあるのですが、そのシーンを見るだけで、ルイージの性格が伝わるんじゃないかと思います。『ごめんなさい』と果物を拾っておじさんに渡したり、どんなに急いでいてもちゃんと扉を閉めたり。ほかのキャラクターもちょっとしたところで、それぞれの個性が出ている」と、宮本氏。映画のピーチ姫の勇敢さやクッパの意外な特技など、どのキャラクターも多層的に作り込まれていて、何度でも会いたく(映画館に会いに行きたく)なる。
クリス氏も「制作中、宮本さんと任天堂のチームとイルミネーションのチームがいろいろなアイデアを出し合ってきた中で、意見が衝突するようなことは一切なかったんです。むしろ、そういう見方もあったのか、そういう見せ方もあるのか、とお互いにディスカバリー(発見)につながっていきました。観客の皆さまにも、ぜひそうやってこの作品をお楽しみいただきたいです」と、アピールしていた。
■オープニングのロゴムービーから見直さなきゃ!
宮本氏は、オープニングのロゴムービーの仕掛けについても教えてくれた。
「ユニバーサル・ピクチャーズのロゴムービーから始まって、その後にイルミネーション、任天堂、それから本編が始まるんですけど、本来であれば、ユニバーサル・ピクチャーズと任天堂の共同出資の作品なので、ユニバーサル、任天堂、イルミネーションの順になるんですね。実はクリスさんから、もし、嫌じゃなかったら、入れ替えませんか、と提案がありました。任天堂のロゴムービーのマリオの音に続いて本編に入った方がシームレスにマリオの世界に入れるのではないか、と。いいアイデアだと思ったので、了承しました。そうしたら、イルミネーションのロゴムービーのところにもマリオカートの音を入れてくれていて、そこからジンワリと任天堂サウンドになっていく。気づかなかった人も多いと思うので、もう1回観ていただけるとうれしいです」
■字幕版と日本語(吹替)版、両方観る
「せっかくアメリカと日本と一緒に作るのだから、最初から英語版と日本語版の脚本を作ろうと思って。英語版の脚本を吹替用に翻訳するより、最初から日本語で脚本を作っていったので会話がすごく自然なんです。英語版と日本語版両方観てもらえるとうれしい」と宮本氏。
英語版の声優キャストには、マリオ役にクリス・プラット、ピーチ姫役にアニャ・テイラー=ジョイ、ルイージ役にチャーリー・デイ、クッパ役にジャック・ブラック、キノピオ役にキーガン=マイケル・キー、ドンキーコング役にセス・ローゲン、クランキーコング役にフレッド・アーミセン、カメック役にケヴィン・マイケル・リチャードソン、そしてブラッキー役にセバスティアン・マニスカルコ。皆、そのキャラクターにふさわしい声、演技力を見込まれて起用されている。
日本語版は、マリオ役を宮野真守、ピーチ姫役を志田有彩、ルイージ役を畠中祐、クッパ役を三宅健太、キノピオ役を関智一、ドンキーコング役を武田幸史が務めている。
英語版と日本語版の脚本を作ったと言っても、映像は英語版のみ。オリジナルの英語版と、日本の声優たちの見事な技、両方観ておきたい作品だ。
■子どもの付き添いではなく、自分のために行きたくなる
「子どもにせがまれて渋々観に行ったマリオブラザーズ。見終わって映画館を出るころには『見に行きたいと言ってくれてありがとう!』。そのぐらい傑作。ファミコン、スーファミ世代にとっては、たまらない作品」(ツイッターより)という投稿に共感できるお父さん、お母さんも多いのでは? 子どもの付き添いではなく、自分が童心にかえって楽しむためにもう一度観に行きたいと思わせてくれるのが、挿入歌の80年代の世界的ヒットソングだ。当時を知らない世代にも新鮮に感じられる名曲が採用されている。
クリス氏は「作り手側の思いとして、初めてマリオのゲームをした時の楽しかった気持ち、当時を懐かしむノスタルジーを呼び起こさせたいという思いもありました。そこで、ゲームのオリジナル音源、それからブライアン・タイラーさんによる映画オリジナル曲に加え、ゲームの1作目が発売された1985年当時のヒット曲も取り入れることにしました。世界中で公開する映画なので、アメリカ以外でも知られている曲の中から厳選しました」と、説明していた。
とにもかくにも、映画館へ「Let's-a-Go!」。
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