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Friday, December 30, 2022

旧統一教会対策越年 - Miyanichi e-press - 宮崎日日新聞

◆「宗教2世」救済へ検証せよ◆

 当初は腰が引けていた政府の背中を世論が強く押し、何とかここまでたどり着いた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題などを巡る対策のことだ。越年してさらに、前に進めなければならない。

 宗教法人法に基づく質問権を初めて行使した教団の調査は11月に始まり、文化庁が年をまたいで継続する。悪質な寄付勧誘の防止や被害救済が目的の被害者救済法は臨時国会最終日に成立、新年1月5日に罰則など一部を除いて施行される。

 文化庁調査は旧統一教会に対する解散命令請求が視野に入っており、来年には可否が判断されることになろう。救済法は施行後の運用状況をチェックし、効果や弊害の有無などを点検しなければならない。これからが正念場だ。

 今後の大きな焦点は文化庁調査の行方だ。年内に2回目の質問権行使に踏み切っており、回答期限は1月6日に設定された。さらに3回目、4回目の行使も予想される。

 1回目の質問は、教団の組織体制や財務状況などに関するものだったが、2回目は教団側が敗訴した民事裁判を巡り、献金や信者勧誘など信仰に関わる内容が含まれているという。さらにきわどい内容になることも予想される。教団は既に「質問権行使は違法」とする意見書を文化庁側に提出。今後、調査差し止めなどの法的措置に出る可能性もある。効果的な質問をする一方で、慎重、適正に手続きを進めなければならない。

 教団が信者間の養子縁組を約40年にわたって奨励していた問題も、厚生労働省などが実態調査を進める。教団によると745人の縁組が成立し、無許可のあっせん事業を罰則付きで禁じた養子縁組あっせん法施行(2018年)後は31件。同法に抵触する疑いが指摘されている。

 調査で刑事責任を問えるか確認してもらいたいが、それだけでは済まない。養子縁組は「子の福祉」を最優先させる制度なのに、教団側は「誕生前から『子女をささげよう』と心がける」と呼びかけるなど「子が欲しい親」のための制度にしていた可能性がある。本質的には「宗教2世」の人権問題にもつながるテーマだ。詳細を明確にした上で救済が必要だ。

 一方、実効性を疑問視する声があった救済法については、被害を抑止する効果があるのか、寄付を勧誘した団体との返金交渉や裁判などに有益かなどを検証しなければならない。そのためには関係機関に寄せられた相談や事例を集約、分析することが必須だ。文化庁には来春、対策室が設置される予定だが、専門家会議を設けるなど徹底的に分析する態勢を組むべきだ。

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