仕事や結婚、子どもの入学で味わう惨め、労働党員か否かで左右される人生
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
北朝鮮には二つの生命がある。一つは肉体的生命で、もう一つは政治的生命だ。政治的生命とは、朝鮮労働党に入党することを意味する。北朝鮮で朝鮮労働党員になるということは、自身の政治的生命を維持するための必須条件だ。
北朝鮮という国は、朝鮮労働党員と朝鮮労働党員ではない人で明確に区別されているため、北朝鮮で朝鮮労働党員ではない人は、指示する側でなく、指示される側として生きなければならない。言い換えれば、朝鮮労働党員ではない人は、一生、出世できないということだ。
ゆえに、北朝鮮の人々は10~13年にわたる兵役期間も、自分たちの貴重な青春時代も、朝鮮労働党に入党するという一つの目的のために、割り切って黙々と過ごしている。
かつての李氏朝鮮時代に、両班と庶民という身分制度が存在したように、現在の北朝鮮では、朝鮮労働党員と、朝鮮労働党員ではない非党員という身分制度が厳格に存在している。党員と非党員の身分格差は、朝鮮時代の両班と庶民のごとく深刻だ。それが、最も色濃く反映されるのが北朝鮮の人事である。
ある工場で作業班長を決めることとなり、20年の経歴を持つ非党員の技能工と、まだ3年しか経験のない党員の二人の中から作業班長を選出することになった。
この時、作業班の全員が20年の経歴を持つ非党員の技能工を班長に推薦したが、人事課は3年の経験しかない党員を班長に任命した。20年間の技能工の経歴より、朝鮮労働党員であることを重視した結果である。
その後、経験の浅い作業班長が話にもならない指示を出したため、作業班員が反発するという事態が発生した。
作業班長は、「朝鮮労働党員である自分が指示を出したのだから、無駄口を叩かずに従うべきで、指示に従わないということは、党の指導に反することだ」と、最後まで自分の指示に従うことを要求した。
すると、作業班員たちは「ここで党員の話がなぜ出てくるのか。あなたがいくら朝鮮労働党員でも、この現場では私たちの方が技能経験は上だ。指示に従って仕事をすれば、期限内に作業を終わらせることはできない」と強く反発した。
だが、作業班長が最後まで無理強いしたせいで、期限内に作業計画を終わらせることはできなかった。そのため、作業班員たちは「ちゃんと仕事を進めるには、党員かどうかに関係なく、長い技能経歴がある人を作業班長に任命すべきだ」と不平不満を漏らした。
このような話は、北朝鮮の至るところで起きている。能力より、朝鮮労働党員という資格を重視する現状に、不満を抱く人々が増える一方だ。
ここで述べたのは組織における人事の話だが、北朝鮮の男性については別の問題も浮上する。このような身分格差が、見合いの時に決定的な影響を与えるという点だ。
からの記事と詳細 ( 「ラクダが針の穴を通過する瞬間」北朝鮮の朝鮮労働党に入党するには 仕事や結婚、子どもの入学で味わう惨め、労働党員か否かで左右される人生(1/4) - JBpress )
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