卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
最近中学生の指導をしていて非常に強く感じることがある。それは、足を全く使えていないということだ。卓球はテニスやバドミントンと違って、選手が動く範囲は狭い。なにせ卓球台の幅はわずか1.5mだ。バドミントンのコートは幅が5m以上、さらに前後にも6.7mもあり、どう考えても卓球は「あまり動かなくてもよい」競技としてイメージされがちである。
だがもちろんそんなわけはない。動く範囲こそ狭いが、その狭い中でも非常に細かく機敏な足運びが上達のために必須なのは、プレイヤーの皆様ならご存知のはずだろう。
ただやはりなかなか初心者の段階では、手の動きばかりに集中して足の動きに意識が及んでいないケースが非常に多い。
今回はそんな初心者の方が、しっかりと基本的な足運びを習得できるような内容をお伝えする。指導者の方などもぜひ参考にしていただきたい。(なお今回は横方向の動きについての言及で、前後の足の運び方については別の機会でお伝えすることとする)
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それぞれの打法に適したポイントに体を運ぶ
経験の浅い選手のプレーを見ていると、来たボールに対してまず手を伸ばして対応している様が散見される。遠いボールに対してもまず手を出して、そのあと手に引っ張られる形で体も動く、という格好だ。
しかしこれでは当然次のボールへの対応が遅れてしまうし、上達までの道のりはかなり遠くなってしまう。基本的にフォアハンドの技術は右膝の前方のあたり、バック系の技術は体の中心がボールを捉えるべきポイントだ。
そしてそのポイントで打球するために、先に足を動かしてボールが来た位置に体を運んでから手を使って打球する、という順序が正しい。今回はこのやり方を体に覚え込ませていこう。
基本的な足の動かし方
まずは通常通りに足を開いて構えの姿勢をとる。そこへフォア側にボールが来たと想定して、今の位置よりも右側に体を運びたいとしよう。まずは重心を少し右足に乗せる意識を持ちながら、右足を右方向に一歩動かす。
すると先程よりも足を大きく開いた状態になるはずだ。そして左足も同じ幅だけ右方向に一歩動かす。基本の動作としてはこういう形になる。これを足が開いた状態が限りなくなくなるように、右足を開くとほぼ同時に左足も合わせて運ぶわけだ。
このときイメージとしては、地面を蹴ってジャンプするというよりは、重心は低いまま、足音を立てないように摺り足で体を運ぶような意識だ。左方向への移動も先程と同じ要領で、まず左足を左方向に動かし、それにつられるように右足も同じ幅だけ動かすのだ。
おすすめの練習
ではこの足運びを実際に多球練習でやっていこう。
まずは細かく足を動かすことを癖付けるための練習だ。選手はバックサイドで回り込んだ位置に構える。球出し側はバックサイドに一本ロングボールを送り、選手はフォアハンドを打つ。そして、上記の足運びをフォアサイド方向へ5回ほど細かくちょこちょこと連続して行うのだ。
イチ!ニ!サン!シ!ゴ!と掛け声を出してやると選手もリズムがとりやすいだろう。そして、「ゴ!」のタイミングと同時にフォアサイドにボールを送り、選手はそれをフォアハンドで打つ。
そして打ったら、同様にバックサイド方向へ、イチ、ニ、サン、シ、ゴ!と足を動かし、同様にゴ!のタイミングでバックサイドへ送球し、フォアハンドを打つ。これを繰り返し行って、とにかく細かく素早く足を動かせるように体に染み込ませるのだ。まずは小さな動きと正しい足運びで、かつ機敏に動くことができるよう、しっかりと繰り返し行おう。
フォアミドルバックミドルフォア
次はもう少し実戦に近づけていこう。同じく多球でフォア→ミドル→バック→ミドル→フォアの順番で送球して、それを足を動かして全てフォアハンドで打球する練習だ。先程はあえてかなり細かく足を使ったが、今回は実際に試合でも使う足運びだ。
ポイントとしては、動きながら同時に体重移動もすることだ。フォアハンドは右足から左足へ体重移動をするので、足を動かしながら同時に体重移動も行うことを忘れずにしよう。これも、イチ!ニ!イチ!ニ!と球出し側が声をかけてあげると、選手はリズムよくやることができるだろう。
フォア反面ランダム
最後にランダム性も取り入れてより実戦に近づけていこう。選手は通常の位置に構える。球出し側はミドルも含めたフォア反面にゆっくりのボールを送ってあげよう。選手は来たボールのコースに右膝の位置を合わせるように意識して足を動かしてフォアハンドを打つ。
このときフォアの遠くに来たボールに対して、先に手を出してしまわないように注意しよう。必ず右足を先に動かし、体をボールのコースに運んでから打球することが大切である。それによって打球が安定するとともに、次の球にも万全の姿勢で備える事ができるわけだ。
フォアミドルに差し込んでくるボールに対しても、体を傾けてボディワークで対処するのではなく、まず足を動かして、ボールが適切な打球ポイントに来るようしっかりと体を運ぶことが大切だ。試合のなかでは間に合わずにボディワークで対応することも当然あるが、まずは基本としてフォアハンドでしっかりとボールの位置に合わせて体を運ぶ、ということを体に覚え込ませていこう。
ある程度この練習になれてきたら、バックも含めた全面のコースでおこなってもいいだろう。バック側へのボールに対してはバックハンドで処理をし、その際もボールを体の中心で捉えられるように、左足から先に動かすことを意識したい。
まとめ
今回は初心者の方に覚えて欲しい足の動かし方についてお伝えした。卓球はどうしても手の動きに注目されがちであるが、手と同じ、あるいはそれ以上に足の使い方が重要な競技である。
ただ、足の動きをないがしろにしても、ある一定レベルまでは上達できてしまうというのも事実である。ただ、それ以上のレベルに行くには不可欠であるし、悪い癖がついてなかなか治らない、という事態に陥ってしまう。
そうならないためにも、経験の浅い段階でしっかりとした足の使い方を身につけておくことを強くおすすめする。初心者の方及び指導者の方は参考にして頂ければ幸いである。
若槻軸足インタビュー記事
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