地球上のあらゆる場所へ通信ネットワークを提供する「スターリンク」のサービス開始を目指すスペースXは、地球の周回軌道上へ最低でも1万2000基の小型通信衛星を打ち上げることを予定しています。比較的低い高度を飛行する膨大な数の衛星コンステレーションは景色としての夜空だけでなく天文学にも影響を及ぼすことが国内外で懸念されていますが、その対策としてスターリンク衛星にサンバイザー(日よけ)を取り付ける計画が明らかにされています。 イーロン・マスク、衛星ブロードバンドのスターリンクからツイート
■アンテナを黒く塗装するかわりにサンバイザーで太陽光を遮断
スペースXによると、スターリンク衛星のうち太陽光を最も強く反射する部分は、白く塗装されているアンテナおよびソーラーパネルの裏側だといいます。最も面積が広いのはソーラーパネルの裏側ですが、高度550kmの軌道で運用中のスターリンク衛星は地球に対してソーラーパネルを立てた状態で飛行しているため、暗い地上に反射光をもたらすのはおもにアンテナということになります。 アンテナによる太陽光の反射を軽減するために、この部分を試験的に黒く塗装した「ダークサット(DarkSat)」が2020年1月に打ち上げられました。ダークサットの明るさは付近を飛行する通常仕様のスターリンク衛星と比べて55パーセント低下したことが確認されたとしており、肉眼で見えなくなるまで暗くするには十分な効果が得られたものの、赤外線を含む一部の光は依然として反射されることも明らかになったといいます。 そこでスペースXでは、アンテナに入射する太陽光をブロックするために、衛星にサンバイザーを装備することを検討しています。サンバイザーを搭載した試験機「バイザーサット(VisorSat)」は間もなく(日本時間5月19日夕方)打ち上げられる予定で、6月以降はすべてのスターリンク衛星がバイザーサット仕様になるようです。
また、運用のための軌道に到達する前のスターリンク衛星は、希薄ながらも無視できない大気の抵抗を極力抑えるために、ソーラーパネルを寝かせるような姿勢で飛行しています。この段階での太陽光の反射も抑えるために、スペースXでは太陽に対して垂直に近い姿勢で飛行する方法を検討中としています。ただし、ソーラーパネルを太陽に対して垂直に立ててしまうと電力が得られなくなるなどの制約もあるため、この段階での反射光軽減には限界もあるとしています。 スペースXは、10年間のサーベイ観測を目指して「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)」の建設を進めているチリのヴェラ・ルービン天文台をはじめとした研究者らとも連携し、将来打ち上げられる衛星を可能な限り暗く見えるようにすることを約束するとしています。衛星コンステレーションの構築は他の企業でも計画されているだけに、先駆者であるスペースXの取り組みが注目されます。
松村武宏
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May 19, 2020 at 09:59AM
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スターリンク衛星には「サンバイザー」が標準装備される予定(sorae 宇宙へのポータルサイト) - Yahoo!ニュース
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