男子走り高跳びで2メートル35の日本記録を持つ戸辺直人(27=JAL)が8日、成田空港から欧州遠征に出発した。

6年前から使っているエストニアを拠点に練習し、スロバキアとエストニアでの2試合に出場する。

「記録としてはオリンピックの参加標準記録(2メートル33)が目標。それを冬に跳べれば楽になる。簡単ではないですけど、そこを跳べるように仕上げたい」と抱負を語った。

新型コロナウイルスによる新型肺炎の拡大の影響で、出場予定だった2月のアジア室内選手権(中国・杭州)は中止になり、3月の世界室内選手権(中国・南京)は延期になった。その代替として挑む試合で、まだクリアしていない東京五輪の参加標準記録の突破を目指す。

昨季と比べ、オフは技術面よりも体力面の強化に力を注いだ。「体の状態は去年よりもいい」。ウエートトレーニングで挙げられる重量も上がっている。

技術に重点を置いてオフを過ごした昨季は、春に日本記録更新など好調だったが、本格的なシーズンイン後は調子を上げられなかった。試合も重なり、体の消耗が記録にも影響した。その反省を今季に生かす。

調子のピークを五輪に合わせられるように「冬の間はしっかりとトレーニングを積み、技術的な仕上がりは去年のインドアシーズンよりは遅らせている」と言う。

これからは作ってきた体に技術、感覚をマッチさせる作業になる。目標とする五輪の頂点へ、ゆっくりと仕上げていく。