米国務長官、キーウ電撃訪問しゼレンスキー氏と会談 ウクライナ再建は「ロシアが負担しなければならない」

握手を交わすウクライナのゼレンスキー大統領(左)とアメリカのブリンケン国務長官

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アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は14日、事前の予告なしにウクライナ・キーウを訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。ブリンケン氏は、ウクライナの再建費用をロシアのウラジーミル・プーチン大統領が支払わなければならないと述べた。

キーウで演説したブリンケン国務長官は、アメリカ政府には米国内のロシア資産を差し押さえる権限があり、その資産をウクライナの再建に役立てると述べた。

また、ウクライナは「NATO(北大西洋条約機構)に近づきつつある」とも述べた。

ブリンケン氏は演説に先立ち、ウクライナへのアメリカからの軍事支援は「いま向かっているところだ」とゼレンスキー大統領に伝えた。

ウクライナ再建、ロシアが負担しなければならないと

ブリンケン氏はキーウ工科大学で演説し、「プーチンが破壊したものは、ロシアの負担で再建すべきだ。そうしなければならない。これは国際法が要求していることであり、ウクライナの人々にとって当然のことだ」と述べた。

「米議会は、米国内のロシア資産を差し押さえる権限を我々に与えている。我々はそれを行使するつもりだ」

また、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダ、アメリカの主要7カ国(G7)は数十億ドルの資金を引き出すことができるとし、「プーチン氏に対して、そちら側にはあまり時間的余裕はないという強力なメッセージを発信する」と付け加えた。

2022年にウクライナ全面侵攻が始まって以降、欧州連合(EU)諸国で推定2110億ユーロ(約35兆7000億円)相当のロシア資産が凍結されている。

ブリンケン氏はポーランド国境から寝台列車で9時間かけて移動し、14日にウクライナの首都に降り立った。

ウクライナが、同国第2の都市ハルキウ近郊でロシア軍の大規模侵入を食い止めようと奮闘する中での訪問となった。

ウクライナ支援「いま向かっている」

アメリカ議会では3週間前に、ウクライナへの610億ドル(約9.5兆円)規模の軍事支援が盛り込まれた、総額953億4000万ドル約(約14兆7000億円)規模の予算案が可決・成立している。

「我々はウクライナをNATOに近づけ、そしてNATOに参加させる」と、ブリンケン氏は述べた。

「我々はウクライナのNATO(加盟)への橋渡しを強固なものにしていく」

ブリンケン氏がカメラに向かって直接メッセージを発信し、ウクライナ国民を安心させようとする場面もあった。「あなた方は1人ではない。我々は今日もあなた方とともにあり、これからもあなた方のそばにいる」。

今回の訪問については、ロシア軍が新たに攻撃を行う中で、「重要な瞬間に」実現したと指摘した。ブリンケン氏はロシア軍の最新の攻撃は北朝鮮やイラン、中国の支援を受けているとしている。

また、侵攻を続けるロシア軍と戦う兵士の動員に関するウクライナの新法についても言及した。この措置はロシア軍がウクライナ東部で前進し続ける中、厳しいプレッシャーにさらされているウクライナ軍の兵員を増やすことを目的としたもの。

ブリンケン氏はウクライナの最近の動員をめぐる改革について、「難しいが必要な決断」だとし、自国のために立ち上がったすべての人を称賛した。

ゼレンスキー氏との会談では、ウクライナの「並外れた回復力」とゼレンスキー氏の「強さとリーダーシップ」に敬意を表した。

ブリンケン氏はウクライナが「困難な時期」にあることを認めつつ、戦場において決定的な違いをもたらすであろうアメリカの支援がウクライナに「向かっているところ」だと述べた。