メキシコ政府は国内の鉄道システムで、公共旅客鉄道輸送サービスの提供を国家開発の優先分野とする政令を11月20日付連邦官報に掲載・公布した(添付資料参照)。
同政令の概要は次のとおり。
- 現在は民間事業者にコンセッションを付与している路線で、公共旅客鉄道サービスを優先する(第2条)
- 貨物サービスのコンセッション保有者はその鉄道路線で旅客鉄道サービスを実施するための提案書をインフラ通信運輸省に対して2024年1月15日までに提出しなければならない(第3条)
- 同コンセッション保有者が投資や工期などで実現可能な提案ができない場合、または期間内に提案書を提出しない場合、連邦政府がインフラ通信運輸省を通じて、国防省や海軍省、または、鉄道旅客サービスに関心があり提案書を提出した者にコンセッションの権利を付与することができる(第4条)
- 対象となる路線は7路線(添付資料第4条参照)。
アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は11月22日の記者会見で、今回の政令は既存のコンセッションの取り消しではないとしつつ、「電車の運賃はバスの運賃よりも安く、経済的なことに加え、安全で、公害も少なくなる」との期待を表明した。
専門家は高速道路の渋滞解消を期待する一方、短い提案書提出期限を批判
今回の政令については、専門家の間でもさまざまな意見が出ている。ホルヘ・カマチョ・オルテガ・メキシコ経営者連合会(COPARMEX)ケレタロ支部長は「メキシコ~ケレタロ間の旅客鉄道サービスは、都市間の人やモノの移動の負担を軽減し、高速道路57号線の渋滞解消につながる」と述べた(「コディゴ・ケレタロ」紙11月20日)。
一方で、鉄道運輸規制庁が公表した2022年国家鉄道システム指標では、区間平均時速は2021年で28.09キロとなっており、既存のインフラで旅客鉄道サービスを実施するには課題も多い。さらに、鉄道用枕木などの木材製品を提供する米国のステラジョーンズのカルロス・バレダ氏は「現政権が設定した期限は、ビジネス上の決定をするのには不合理だ」と述べ、「路線でのサービスの実需分析など、さまざまな調査を行う必要があるため、民間コンセッション事業者が提案をするには、半年から1年はかかる」との見解を示している(「レフォルマ」紙11月20日)。
(阿部眞弘)
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