ブラジル連邦政府は、公共支出を抑え、政府財政の均衡を目指すことを目的にした新たな財政均衡策(2023年8月30日付補完法第200号、注)を8月31日に官報に公示し、即日施行された。
同法は、政府の歳出伸び率を過去12カ月間の歳入増加率の70%以内に制限するもので、歳出伸び率は0.6%以上2.5%以下でなければならないという制約も設けられた。また、各年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の目標値も新たに設定する。目標が達成されない場合には、翌年の歳出伸び率を過去12カ月間の歳入増加率の70%ではなく、50%以内に制限する(2023年4月12日記事参照)。
連邦政府が4月時点で国会に提出した2024~2026年の基礎的財政収支の目標値は、2024年はGDP比で均衡、2025年は0.5%の黒字、2026年は1%の黒字と設定されている。2023年8月30日付の現地紙「グローボ」によると、インフラ投資によって経済成長を目指す「成長加速プログラム」(PAC)が8月11日に発表されて以降(2023年8月29日記事参照)、公共投資の拡大により、2024年基礎的財政収支の目標値をGDP比で0.5%の赤字に変更すべきとの声が閣僚内で強まっていた。しかし、フェルナンド・アダジ財務相およびシモーネ・テベチ企画・予算相は、目標値を達成する前から諦めて下方修正することはオフショアファンドへの課税など歳入増加策の承認をさらに困難にするとして、反対の立場をとっていた。財務省および企画・予算省が、財政均衡策の施行に伴い、8月31日に提出した2024年度の予算法案では、2024年基礎的財政収支の目標値はGDP比で均衡に据え置かれた。
(注)同法は財務省および企画・予算省が策定し、4月18日にルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領によって国会に提出され、8月22日に上下両院で可決された。
(エルナニ・オダ)
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