BrAt_PiKaChU/Getty Images
サマリー:不安感が高まると、人はリスクを避けて自分を守ろうとし、声を上げづらくなる。不確実性の高い時代に企業が適応力を発揮するには、従業員の力が必要だが、彼らの心理的安全性を確保し、率直な意見を得るにはどうすべ... もっと見るきか。本稿では、不安な時代においても組織の心理的安全性を築く方法を、「心理的安全性」という言葉を生み出したハーバード・ビジネス・スクール教授のエイミー C. エドモンドソンらが紹介する。 閉じる
不安感から従業員が声を上げづらい現状
「世界不確実性指数」は依然として高い水準にあり、銀行の破綻、戦争、インフレ、レイオフなどの要素が不安定さや不安感を強めている。あるテクノロジー企業の人事担当者は筆者らに「自分のチームが35人から18人に減るだけでとても怖くなる。仕事に対して強い不安や心配が湧き起こる」と語った。
世の中が怖いと感じると、当然ながら、人はリスクを取ることを避けて自分を守ろうとする。筆者らの調査や組織へのコンサルティングにおいて、このようなリスク回避の意識がバーチャルな世界でもリアルな世界でも浸透しており、結果として従業員が声を上げづらくなっている。
安定している時期は、従業員が間違いを明らかにして、アイデアを出し、質問を投げかけ、視点に異議を唱えることができ、企業はより早く、より適切に学習できる。一方で不安定な時期は、知識の共有やプレッシャーテスト、フィードバックという形で同様の行為がより重要になり、革新的で適応力のある企業とそうでない企業の違いを生むことも少なくない。
待ち受ける困難を乗り切るために、企業はあらゆる資産を活用しなければならない。そこには従業員の才能や洞察力も含まれる。従業員の心理的安全性──罰や屈辱を受けることなく発言できると思えること──の構築は、リーダーにとってこれまで以上に重要になっている。
なぜ沈黙が安全なのか
自分の評判や生活を損なうかもしれないリスクは、誰しも取りたくないものだ。発言と沈黙の結果を比較すれば、それも当然だろう。筆者の一人であるエイミーの著書『恐れのない組織』から引用した以下の図表が示すように、声を上げることは従業員個人ではなく、主に組織や顧客に利益をもたらす。しかも、その利益は確実なものではなく、実現に時間がかかる傾向がある。一方で、声を上げずに我慢すれば、従業員はすぐに、そして確実に、矢面に立たされないという安心感を得ることができる。
沈黙を守る従業員を非難するという、安易に陥りがちな傾向を避けるために、リーダーはこの非対称性を理解しておかなければならない。自分のキャリアを明らかに犠牲にしてまで、他人に不確かな、しかも時間差のある利益を与えようとする人がどれだけいるだろうか。
したがって、リーダーは、声を上げることを従業員にとって価値があることにしなければならない。
リーダー自身と職場の現状を知る
職場で声を上げるために心理的安全性が必要なのは、部下だけではない。組織の階段を上るにつれて、我慢しろというプレッシャーは高まる。INSEAD教授のジャンピエロ・ペトリグリエリが雄弁に語っているように、「時間は、勇気を呼び起こしたりはしない。権力を持つ人に真実を語ろうとする恐怖を、権力を持ちながら真実を語るという恐怖に変えるだけだ」。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査が示すように、ほとんどのリーダーは、自分や他人の心理的安全性を促進するような行動を示していない。
筆者らは経営幹部と仕事をする際、他人の行動に注目する前に、自分自身を見つめるようにと話をする。たとえば、最近数千人の人員削減を発表した企業で、筆者の一人であるコンスタンスは、ある事業部門のリーダーに、Cクラスの幹部や取締役会、金融機関に自分の部門の仕事について明るい見通しを提示しなければならないというプレッシャーを感じているかどうかを尋ねた。すると、そのリーダーは悲しそうに認めて、そういう人たちを前に自分の意見表明を控えたくなる誘惑に負けないよう必死だと語った。
心理的安全性を構築しようとする前に、リーダーであるあなた自身の不安と行動をあらためて確認しよう。あなたはどのような時に声を上げているか。どのような時に我慢をするか。その答えは、あなたとあなたの従業員が直面しているリスクの許容度を理解する手掛かりになる。リーダーの心理的安全性が低い、つまりリスクを取る意欲が低ければ、その時は間違いなく、部下に「我慢したほうがいい」というシグナルを送っている。
からの記事と詳細 ( 不安な時代に組織の心理的安全性を築く方法 従業員が声を上げ ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー )
https://ift.tt/e6RnyFZ
No comments:
Post a Comment