個人事業主の方は、自分で自分の1年間の所得金額を申告し、納税する必要があります。
この記事では、個人事業主ではじめて確定申告を行なう方向けに、確定申告のやり方をわかりやすく解説していきます。
この記事の目次
確定申告ってなに?個人事業主は絶対に必要?
個人事業主にとって、確定申告とは、自身の収入に応じた税金を支払うために税金について申告する制度を言います。
日本では、自分で所得を計算して、それに応じた税金を自ら納めなければなりません。
簡単に言えば、お金をもらったら、その金額に応じて税金を納めなければならないのです。
しかし例外的に、確定申告をしなくてもいいケースというものがあります。
ここでは、個人事業主の方で確定申告が必ず必要な方と、必ずしも確定申告をしなくてもいい方に分けて解説していきます。
個人事業主で確定申告が必要なケース
個人事業主の方であれば、原則として確定申告を行なう必要があります。
まずはこれが大原則です。
何らかの手段で多少なりともお金をもらっている場合には、確定申告はしなければならないものです。
国税庁が公表している資料において、確定申告が必要な人とは、次のように言われています。
「その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、確定申告をする必要があります(控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合を除きます。なお、この取扱いは確定申告書の提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告書について適用され、当該提出期限が同日前となる場合にはこれらの控除しきれなかった額があったとしても確定申告をしなければならないこととなります。)」
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm)
難しい用語が並んでいますが、原則として、個人事業主の方は確定申告をする必要があるということを覚えておけば、問題ありません。
個人事業主で確定申告が不要なケース
上で説明したように、個人事業主の方であれば、確定申告は原則としてしなければならないものです。
しかし一定の要件を満たしている場合には、確定申告をしなくてもいいことになっています。
確定申告をしなくてもいいケースとは、簡単に言えば、もらったお金よりもお金をもらうために支払ったお金の方が多いケースです。
たとえば、1個1万円の商品を10個仕入れて1個2万円で5個販売した場合、10万円の支出があった一方で、10万円の収入があったことになります。
このとき、手元に残っているお金は0円です。これでは税金を納めることができません。
少し専門的な用語を使えば、商品を仕入れた時の支出10万円を「経費」、商品を販売して得た収入を「所得」と言います。
そして、その所得から経費を引いたものを「課税所得」と言います。
課税所得とは、税金を計算する元になる数字だと思ってください。
この課税所得に税率を乗じて、納めるべき税額が計算されます。
個人事業主の方の場合、収入は基本的に事業活動によって得た収入のことを言います。
ただし厳密に言うと、総収入金額にはそれぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
ロ 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
ニ 空箱や作業くずなどの売却代金
ホ 仕入割引やリベート収入
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm)
結果として、個人事業主の方は上記を含む事業活動の結果として得られた収入から、必要経費を差し引いた課税所得を自分で計算して、納税しなければならないというわけです。
そのため、個人事業主の方の方の課税所属の計算は以下のような算式で求めることができます。
総収入金額-必要経費=課税所得
ここで、課税所得が0、もしくは所得よりも経費が多くマイナスとなる場合、納めるべき税額は0、あるいはマイナスということになります。
現実ではもっとも複雑になりますが、課税所得が0の場合は税率を乗じても0となりますし、所得よりも経費の方が多い場合は税率を乗じて支払うべき税金がマイナスとなってしまいます。
したがって、個人事業主で確定申告が不要なケースとは課税所得が0、もしくはマイナスのケースということになります。
ただし、確定申告をしなくても良くなるからと言って、行ったすべての支出が経費にできるわけではありません。
すべての支出が経費となるのであれば、個人事業主の方はどんどん支出を増やせばいいことになってしまうからです。
個人事業主の方が経費とできる支出は、どんな支出で上限はいくらかというのは決まっています。
加えて、課税所得が0、もしくはマイナスとなるようなケースでも、確定申告をしなければならないケースもあるので注意してください。
個人事業主の確定申告手続き
ここまでの話をまとめると、個人事業主の方は原則として確定申告を行わなければなりませんが、課税所得が0もしくはマイナスとなるようなケースでは、確定申告をしないでもいいということです。
ただし繰り返しになりますが、個人事業主の方にとって確定申告とは原則しなければならないもので、しなくてもいいケースというのは稀なのです。
確定申告は2種類ある:青色申告と白色申告
個人事業主の方が確定申告をする場合、申告の方法が青色申告と白色申告、2つあります。
青色申告は、定められた要件を満たした方法で確定申告を行なう申告方法で、白色申告は簡易的な確定申告の申告方法となります。
青色申告で確定申告を行った方が、所得から差し引くことができる経費を増やすことができます。
厳密に言えば、控除を増やすことができます。
控除とは、所得から差し引くことができるもののことを言います。
所得から差し引くものが増えるということは、課税所得が少なくなるということです。
つまり、納めるべき税額を少なくすることができます。
青色申告の手続き
青色申告とは、特定の方法で記帳したうえで、専用の書式で確定申告を行なう方法です。
1年間の所得額を適切に計算して確定申告を行なうためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳しておく必要があります。
なぜなら、いちいち覚えていることはできませんし、第三者から検証可能なものとするためです。
そのため、取引に伴って作成したり、受け取ったりした書類については保存しておく必要があります。
記帳方法が作成者独自のものだと、第三者が記帳されている事項が適切かどうか判断できません。
したがって、一定のルールのもとで適切な記帳を行っている場合には青色申告で確定申告を行なうことができ、青色申告で確定申告を行っている場合には控除額が大きくなるなど、税制上の優遇を受けることができます。
青色申告で確定申告を行なう個人事業主の方は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署長に対して提出する必要があります。
白色申告の手続き
白色申告とは、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出していない人が行なう確定申告の方法です。
したがって、青色申告承認申請書を提出していない個人事業主の方は、原則として白色申告で確定申告を行なうことになります。
白色申告では、総収入金額や必要経費の内容について記載した書類である「収支内訳書」などの書類の提出が必要となります。
あまり知られていませんが、白色申告で確定申告を行なう個人事業主の方に対しても記帳制度や記録保存制度が設けられているので、お金のやりとりの証拠となる領収書、請求書などの書類の保存が必要です。
白色申告では、総収入金額及び必要経費に関する事項について整然と、かつ明瞭に記録しなければならないとされています。
白色申告において記帳しておかなければならない事項は、次のとおりです。
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou03.pdf)
※青色申告・白色申告に関しては、▼こちらにさらに詳しい情報があります。
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