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Friday, October 21, 2022

【ネタバレ】映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』原作との違いがある?他シリーズ作品との繋がりは?徹底解説 | FILMAGA(フィルマガ) - FILMAGA by Filmarks

多くのシリーズが製作されてきた映画「るろうに剣心」シリーズ。その最後を飾った映画が、2020年に公開されたるろうに剣心 最終章 The Beginningです。

本作は、『るろうに剣心 最終章 The Final』の公開からわずか約1ヶ月後に公開された映画でした。ただし『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は歴代の「るろうに剣心」シリーズとは全く違う特徴があります。それは本作が、主人公・緋村剣心がまだ“人斬り抜刀斎”として恐れられていた頃を描いているところにあります。

これまでのシリーズとの繋がりや、意外な登場人物など一度観ただけでは網羅できない見所もある『るろうに剣心 最終章 The Beginning』をネタバレ解説して参ります。

動乱の幕末の時代、緋村剣心(佐藤健)は、倒幕派である長州藩のリーダー・桂小五郎(高橋一生)のもと、暗殺者として暗躍し、血も涙もない最強の“抜刀斎”として恐れられていた。

しかしある夜に、剣心は助けた雪代巴(有村架純)に人斬りの現場を見られてしまい、口封じのために側に置くことにする。次第に親しくなっていく二人は、幕府の追手が激しくなり追手から逃れて農村に身を隠すことを契機に、本当の夫婦のような絆が生まれていく。

剣心は本当の幸せを見出していくと共に、人を斬ることへの思いにも迷いが生まれいくのだが、そんな矢先、巴は突然その姿を消してしまうのだった……。

※以下、本作のネタバレを含みます。

るろうに剣心 最終章 The Beginning』は、これまでの「るろうに剣心」シリーズの前日譚にあたる物語です。直前に公開された『るろうに剣心 最終章 The Final』との二部作とされていますが、これまでのシリーズに登場してきた神谷薫(武井咲)や相楽左之助(青木崇高)といったおなじみのキャラクターも登場しないので、むしろ本作を単体で観ても楽しめる作品になっています。

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で描かれる内容は、原作である漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」でも19巻〜21巻にかけて収録されている“追憶編”として知られる回想場面がベースとなっています。

1996年〜1998年に放送された初めてのTVアニメ化の際には、この追憶編は描かれなかったのですが、後の1999年にOVA『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編』として映像化を果たしています。このOVA版では、従来のTVアニメシリーズともキャラクターデザインを大幅に変更し、コミカルなシーンがないシリアスな内容となっており、アニメ版でも特殊な立ち位置にあるエピソードとなっていました。そんなOVA『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編』も、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のクレジットに、制作協力として名を連ねています。

ついに具体的に描かれる雪代巴との因縁

るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、剣心の元妻である雪代巴との因縁が具体的に描かれます。巴自体は、実写版映画第一弾となる『るろうに剣心』(2012)で、渡辺菜月が演じる形で登場していたり、『るろうに剣心 最終章 The Final』では『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のシーンがそのまま登場するなど、これまでも作中で存在は、ほのめかされてきたのですが、ついに本格的な登場となりました。

実は、剣心によって暗殺されてしまった清里明良(窪田正孝)の許嫁であり、当初は復讐のために辰巳(北村一輝)率いる闇乃武(やみのぶ)の手先として、剣心に接近しました。しかし、剣心と共に暮らしていく中で、本当に愛情が芽生えていき、命を張ってまで剣心の命を救うことになります。

巴を斬りつけてしまう展開こそ原作漫画と一緒なのですが、そのあとの演出には今回の映画では少し違いがあります。

それが、巴の短刀で剣心の頬を傷つけるシーン。

原作では、巴が倒れて持っていた短刀が手から離れた際に、剣心の頬を偶然斬りつけたことで十字傷が生まれます。今回のような、意図的に短刀で傷をつける展開は、むしろ前述のOVA『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編』で行われたアレンジをベースにしています。

とはいえ、剣心の頬についた十字の傷は、明良が負わせた傷と、巴が持っていた短刀で付けた傷が重なってできたものに変わりはなく、剣心が二人を殺めた業を背負うかのように、その後も剣心の顔にこの傷が残ることになります。

他の「るろうに剣心」シリーズとの繋がり

剣心のトレードマークとも言える傷がいかにして生まれたのか、といった秘密の他にも、これまでのシリーズを追ってきた人には「おっ」と思わせる登場キャラクターも多いです。

中でもこれまでの劇場版シリーズでもお馴染みの藤田五郎(江口洋介)こと斎藤一が、警視局の警官になる以前の新撰組所属として登場しています。巴だけでなく、一と剣心との因縁が描かれている映画にもなっています。

また、『るろうに剣心 最終章 The Final』の戦いにも繋がることとなる、まだ幼い頃の雪代縁も登場しています。姉である巴を追ってきた縁は、闇乃武の一員として登場します。縁の巴への強い執着は『るろうに剣心 最終章 The Final』でも描かれてきましたが、今回の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、巴も縁のことを気にかけていた様子が描かれます。

サプライズとも言えるのが、剣心と沖田総司(村上虹郎)との対決です。実はこの二人の戦いは原作には登場していませんでした。ただ、唯一二人の戦いを描いている作品が存在しており、それがやはりOVA『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編』です。こういった共通点があることからも、OVA版も参考にしていたことがよくわかります。

これまでの殺陣との違い

剣心と沖田の戦いにも言えるのですが、これまでの「るろうに剣心」とは一点、アクションシーンにも大きな違いが存在します。それが、剣心が逆刃刀ではなく真剣を握っていること。剣心といえば、刃と峰が逆方向についた珍しい刀を握っており、相手を殺さないための刀をトレードマークとして持っていました。

しかし、本作はまだその信念が生まれるまでの物語。これまでの剣心とは違い、相手を殺そうとする剣心の殺陣が存分に描かれる作品となっています。そもそも『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は物語の始まりから強烈。口に刀を加えてまで、多勢相手に一人で立ち向かう様子は、これまでの剣心に馴染みがある人も、一目でいつもの剣心ではないことが分かるのではないでしょうか。

ぜひ、その後の剣心の戦いと比較して見てみるのもオススメしたいところですが、幸いこの『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は“Beginning”とある通り、はじまりの物語。そのまま、再び実写映画シリーズの『るろうに剣心』(2012)へと地続きで観ることができます。残念ながら最終章を迎えてしまった実写版「るろうに剣心」シリーズですが、最後に前日譚を持ってきた構成は、なんどもこのシリーズを繰り返し見たくなる仕掛けだったのかもしれませんね。

(C)和月伸宏/ 集英社 (C)2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会

※2022年10月20日時点の情報です。

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