少子化と教員の負担増で維持が難しくなっている学校の部活動を、どうすれば持続可能な形にできるのか。それぞれの地域で、今後の方向性を考えなければならない。
公立中学校の部活動について、スポーツ庁と文化庁の有識者会議がそれぞれ、スポーツクラブや音楽教室などの地域の民間団体に指導や運営を委ねる「地域移行」を進めるよう提言した。
これを受けて両庁は、まずは休日の部活動を、来年度から3年間かけて地域に移すことを目指すという。そのために必要な人材の確保にかかる費用を補助するなど、各自治体を支援する。
長年、学校が担ってきた部活動の大きな転換点になる。
部活動は、学習指導要領で「学校教育の一環」とされる一方、法令上の義務ではなく、必ずしも教員が指導する必要がないという、曖昧な位置づけになっている。
顧問の教員が休日返上で指導にあたる場合が多く、多忙化の一因とされている。一方、少子化で廃部に追い込まれるケースもある。部活動を維持するために浮上したのが、地域への移行だった。
だが、実現には課題が山積している。受け皿となる適切な民間団体がない地域もある。会場をどのように確保し、活動中の安全管理責任を誰が持つのかといった問題も解決しなければならない。
民間に指導を頼む場合、謝金などが発生し、保護者の負担が増える可能性もある。スポーツ庁の試算では、子ども1人あたり年1万7000円多くかかるという。
各自治体は、受け皿探しを学校任せにせず、地元の団体との間を仲介するなど、主体的に関わるべきだ。過熱が指摘される部活動もある。部活動ありきを前提にせず、無理な場合は土日の活動は休みにすることも一考に値しよう。
地域や学校の実情を踏まえ、柔軟に対応することが大切だ。国も自治体の参考になるよう、各地の状況を紹介してほしい。
国は、学校と関係団体の間を調整するコーディネーターの配置を支援するという。休日の地域移行が実現しても、平日の部活動は学校が担う。指導に一貫性がなければ、生徒が混乱してしまう。
コーディネーターは、こうした調整にも努めてもらいたい。
国は将来的に、平日の地域移行も検討するとしている。部活動は高校入試で評価の対象になっている面もある。平日の移行を目指すなら、部活動の位置づけを抜本的に見直すことも必要だろう。
からの記事と詳細 ( 部活の地域移行 学校の実情に合わせて柔軟に - 読売新聞オンライン )
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