自衛隊の周辺地域など安全保障面で重要な土地を適切に管理する第一歩にしなければならない。外国資本の不透明な進出を防ぐには、さらなる対策も必要だ。
昨年6月に成立した「重要土地等調査・規制法」が、来月中旬に全面施行される。規制の対象となるのは、自衛隊や海上保安庁の施設、原子力発電所の敷地などの周囲1キロ・メートル以内の土地と、領海などの基点となる離島だ。
国は「注視区域」に指定した土地の利用状況を調べ、施設の機能を妨げる行為があれば、中止を命じられるようになる。従わなければ、罰則を科せる。
特に重要な「特別注視区域」では、一定面積以上の売買に事前の届け出が義務付けられる。
政府が指定する区域の候補は、計600か所以上だという。情報を管理する内閣府の組織の人員は約30人にすぎない。各省庁や地元自治体との連携が不可欠だ。
法律の目的は、外国がこうした土地を拠点に、
日本はこれまで、外国資本の土地買収に無防備すぎた。監視の目を光らせるのは当然だ。
政府は、法律の全面施行に先立ち、規制対象の行為として、工作物の設置やレーザー光線の照射など7項目を例示した。一方で、集会開催などは規制の対象にならないとしている。私権制限への懸念に対する配慮からとされる。
ただ、技術の進歩などで、例示の範囲に収まらない新たな妨害行為も予想される。そうした事態にも、
法律により、土地や建物の利用状況は把握しやすくなるが、取引自体を防げるわけではない。実際に妨害行為が生じるまで対処できない今の仕組みでは不十分だ。
多くの国は、外資による土地所有を厳しく規制している。米国では、外資が軍事施設周辺の不動産を購入する際には審査が必要で、大統領は取引を停止する権限が付与されている。
日本も、安保上の懸念がある場合の取引制限まで踏み込んだ法整備を議論すべきではないか。
政府は、東京・市ヶ谷の防衛省周辺を特別注視区域に指定しない方向だ。経済活動への影響を考慮したというが、防衛の中枢を外すことには疑問が残る。
からの記事と詳細 ( 重要土地規制法 外資の取引を監視する一歩に - 読売新聞オンライン )
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