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Saturday, August 20, 2022

草野仁78歳 強い体作り現在も - Au Webポータル

 78歳になっても腹筋とダンベル運動を数百回――。草野仁は頭脳明晰(めいせき)で記憶力抜群なだけでなく、鍛えた身体はまさに「スーパーヒトシ」だ。今夏始まった「草野仁の名医が寄りそう!カラダ若返りTV」(BS朝日=土曜午後4時)では、人一倍体作りに気を使ってきたこの人が、健康法を伝えている。穏やかな表情と語り口からはうかがい知れぬ“超人”に半生を振り返ってもらった。(文化部 若林圭輔)

■肉取り過ぎず、魚多め…夜は糖質少なめ

――相当鍛えていらっしゃるようですが。

 いえいえ。さほどでもなく、やらない人に比べるとそこそこやっているな、というぐらいですよ。今から10年以上前、東京都知事だった石原慎太郎さんのもとにインタビューにうかがいました。その時、「おう、草野君、まだ(筋トレを)やっているかい?」と聞かれたので「やってますよ」と答えたら、「お前なあ、人間60も過ぎたら突然、血管がプチッといくことがあるぞ。重いのはやめろ」と言われましてね。確かに大会に出て競っているわけでもないので、そこから負荷を減らして、なるべく無理をしない程度に鍛えています。

――具体的には?

 朝食から30分後、腹筋200回を数セット。そんなに苦もなくできるようになりました。それからダンベル15キロを両手に持って、お相撲さんがやるように色々と回しています。80回を4、5セットかな。エアロバイクは、今ちょっと膝が痛くて無理していませんが、30~40分。東京五輪の聖火リレーにも参加しましたが、その前は散歩で有酸素運動もしていました。

――食事も気を付けているとか。

 朝は野菜サラダをたっぷりと食べます。血糖値の上がり方が緩やかな野菜をなるべくたくさん。トマト、レタス、たまにキュウリ。あとは山芋、長芋。その上にとろろ昆布をまぶして、割と多めに食べるんです。ある番組で「これはトップモデルの食事だ」と言われました。もちろんたんぱく質も。肉は取り過ぎず、魚を多く食べるようにしています。夜は糖質少なめ。2杯食べていたご飯を1杯にしました。

■円周率110ケタくらい暗記、人口や競馬場の観客数も

――強い体の原点は?

 数学者だった父、萬三郎(長崎大名誉教授)も102歳と長寿でした。それを受け継いだのかもしれません。父は第2次大戦で満州(現中国東北部)にいて、戦後、シベリアに抑留されましたが生き延びました。それがなければ、もっと長生きしたはず。あとは、故郷・長崎県島原市で子どもの頃、魚をたくさん食べたことでしょうか。戦後は貧しかったですが、父の教え子に漁師がいて、毎日のように魚を持ってきてくれたんです。

――それで記憶力も抜群なんでしょうか。

 円周率は110ケタくらい言えます。中学1年の時の教科書に載っていて覚えました。今も記憶力のよりどころになっています。3.141592653589……。

――あ、ありがとうございます。お時間も限られていますので……。

 あと、1955年、昭和30年の国勢調査で、日本の人口が8927万5529人というのを覚えたんですね。競馬番組もやっていましたので、日本の競馬場で最も多く観客を集めたのが1990年の東京競馬場での日本ダービーで、入場人員が19万6517人。中山競馬場の最高入場人員は同じく90年の有馬記念で、オグリキャップが復活優勝ラストランを成し遂げた時の17万7779人ですよ。そういう数字を頭に入れ、ちゃんと覚えてるかとか、時々チェックする材料にしているだけです。何の意味もないんですけどね!

■友達の家で見た栃錦戦法で巨漢選手倒す

――「相撲をしていないのに国体の県予選で優勝」。そんな“伝説”は本当ですか。

 ええ、そうなんです。昭和30年ぐらいには、島原でもテレビがお金持ちの家庭に入ってきまして、友達の家で相撲中継を見せてもらっていました。その時の横綱は小兵の栃錦。バッと素早く立って攻めてやっつける非常に効率的な相撲で強かったんですね。実際にそれを仲間内でやってみると、僕は圧倒的に強かったです。それから相撲を取っていなかったんですが、大学4年で帰省した時、国体の相撲の県予選に誘われましてね。決勝の相手は130キロくらいで、私は77・5キロ。一度取り直しになり、がっぷり四つでもいけると思いましたが、栃錦戦法で2、3秒で勝ちました。でも、国体出場は卒論の時期と重なり、辞退しました。

――芸能界最強説もありますが。

 そんなことはないです。ただ、61歳の時、日本テレビで芸能人のレスリング最強決定戦があったんです。60歳を超えているので、特別待遇で勝ち上がってきた選手と決勝でぶつかるという形になりまして、色々強い人が出てきた中で、柔道の有段者だった芸人さんと当たりました。低く潜って足を取りに来た相手を上から締め付け、判定勝ちでタイトルをもらいました。そこそこ年の割にはやれるという感じだと思います。

■健康寿命、できる限り引き上げる

――健康について考えていることは?

 日本人は女性の平均寿命が87歳、男性が81歳で、世界でも一、二を争う大変な長寿国なんですね。けれども、人に迷惑をかけず、単独で生きていける「健康寿命」は、女性が平均寿命のマイナス11歳ぐらい、男性はマイナス9歳ぐらい。それだけの長い期間、介護を受けたり、どなたかの手を借りたりしなければならないという非常に厳しい状況にある。それが医療費の増大、大きな負担になっている。この差を縮めていくことが急務だと思います。自分の健康は自分で守る。番組を通じて何が大切で、何をすべきか、皆さんにお知らせしていきたいですね。

――今後の抱負は。

 健康寿命をできる限り引き上げていくのがとても大事だと思います。そのお役に立てるように私自身も健康を維持して番組を続けられるといいなと思っております。

――私たちにもできる健康法は。

 糖質を取り過ぎずに適度な運動を心掛けることでしょうか。若い時から健康診断をきっちり受けて、そこで問題があったら「まだ大丈夫」と過信せず、適切に対応する。番組では、「肩こり」「血圧」などテーマごとに名医が改善策を提案し、悩まれている方がそれらを実践しますので、ぜひご覧ください。

◆くさの・ひとし 1944年、満州(現中国東北部)に生まれ、長崎県島原市で育つ。東京大文学部卒業後、67年、NHKアナウンサーとなる。モントリオール五輪などスポーツの実況中継を担当。「ニュースセンター9時」のキャスターも務めた。85年に退職。翌年からTBS系「世界ふしぎ発見!」の司会となり、現在に至る。同番組では、自身をモチーフにしたキャラクター「スーパーヒトシ君」もおなじみ。ほかに日本テレビ系「ザ・ワイド」でも14年間、司会を務め、テレビ東京系「主治医が見つかる診療所」などでも活躍している。

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