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Monday, April 18, 2022

ウクライナ難民受け入れで日本の難民政策を変える | | 小熊慎司 - 毎日新聞

 日本政府は政府専用機でウクライナからの避難民を20人連れてきた。しかし、本当に希望者は20人しかいなかったのか。そもそも政府専用機を使うことは直前まで決まらなかった。どこまで現地の人たちに周知できたうえでのことか、極めて疑問だ。

 日本は多くの大災害があり、避難生活の経験がある。私も福島県選出で、東日本大震災の避難者を受け入れた経験がある。その経験を生かし、今から中長期的な視点でウクライナ難民を受け入れる態勢を作らなければならない。

現地は大混乱

 ポーランドに注目が集まっているが、ルーマニアやモルドバにも何十万人という難民が流入している。日本に突然、何十万人の難民が来たと想像してほしい。どれほど混乱するかわかると思う。

 東日本大震災の時も、1次情報が届かず、みな不安になった。結局は避難所の掲示板などに頼った。こうした時はアナログな情報の伝え方が大事になる。現地の在外公館のスタッフをもっと充実させ、NGOに対して資金面だけではなく人的な援助もする必要がある。

 また、日本への避難を希望した場合は、渡航費は政府が出すべきだ。高額な渡航費を自費で出せと言えば、実際には避難することができない。

日本でのコミュニティー作りを

 ウクライナ難民がどれほど日本に来るかはわからないが、日本に定住を希望する人もいると考えるべきだ。自治体や企業からは支援の申し出が相次いでいる。けれども日本で受け入れるならば、バラバラに受け入れるのではなく、一定のコミュニティーを作って受け入れなければならない。

 私の地元は会津若松市だが、大熊町など浜通り地方から避難者を受け入れた時にさまざまな問題がおきた。福島県内で福島県民を受け入れても問題が起こった。言葉も通じない、習慣も違うウクライナ人を日本社会に一人だけ、あるいは一家族だけでポツンと投げ出すようなことはできない。ある程度まとまって受け入れ、自治会のようなものを作って対応できるようにすべきだ。

本腰が入っていない政府

 定住を考えるならば、難民認定が問題になる。政府は、1年ごとに更新する「特定活動」という在留資格で受け入れている。このため政府は「難民」という言葉を使わず「避難民」という言葉を使っている。「ウクライナの避難民を受け入れた」と言っても日本の難民政策は全く変わっていない…

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