夏の参院選で福島県内のベテラン2人が新境地での戦いに臨むことになった。福島選挙区(改選数1)で4選を目指す無所属現職の増子輝彦氏(74)と、自民党の元参院議員岩城光英氏(72)。野党勢力と決別した増子氏は組織の後ろ盾がなくなり、選挙区候補になれなかった岩城氏は初の比例代表に回る。これまで与野党の候補としてしのぎを削り合ってきた両者はそれぞれ正念場を迎えている。
増子氏、制約多く露出少なく
「選挙のやり方は今までとは変えるつもり。集大成の戦いにする」。8日、無所属での立候補を正式表明した増子氏は記者会見後の取材に意味深長に語った。各地の個人の地域後援会を軸に支持拡大を目指すが、政党公認のない無所属候補の活動には制約が多く、選挙のやり方は「変えざるを得ない」のが実情だ。
例えば街頭ポスター。公職選挙法は、事前運動を防ぐため、任期満了の6カ月前から立候補予定者の顔と名前を押し出したポスター掲示を禁止している。
政党の公認候補の場合は、応援弁士らと候補者を一緒に並べるなどしたポスターであれば公示日まで掲示できる。おのずと政党候補と無所属候補とでは人目の付き方に差が出てしまう。
増子氏の場合、以前に掲示した古く色あせた個人ポスターが各地に残るが、「本来はすぐに撤去しなければならない」(福島県選管)のがルールだ。
増子氏の地盤の郡山市の後援会事務所には手持ちぶさた感が漂う。陣営関係者は「今はポスターも貼れなければ、新型コロナウイルス下で集会もやりづらい。最近は県内のイベントの来賓にも呼ばれない」と露出の少なさに気をもむ。
当の増子氏は「これまで『野党内与党』を自認して人間関係を築いてきた」と語り、今後の支持集めに自信を見せる。2020年9月に旧国民民主党を離脱した後に入会した参院自民会派も今月15日に身を引く形で退会。退路を断って中立的な立場をアピールする。
岩城氏、票固めへハードル高く
岩城氏は26日朝、いわき市内で街頭に立ち、行き交う車に手を振った。つじ立ちは3月から続ける。「原点に返り、票を積み上げる」。覚悟がにじむ。
自民県連は昨年12月、選挙区に新人の県医師会副会長星北斗氏(58)を擁立。国政復帰を期す岩城氏は無所属で立候補の意思を固め県内各地を回った。離党も辞さない構えだったが3月下旬に事態は急転。保守分裂を避けたい所属派閥から比例からの立候補を打診され、今月15日に党公認の比例候補として発表された。
落選から6年。21日にいわき市内であった事務所開きで、岩城氏は「ようやくスタートラインに立てた」と声を詰まらせた。支援者の一人は「これほどの決意を表に出したのは初めてではないか」と語った。
初の比例の戦いは容易ではない。自民の有力支持団体の多くは既に支援候補を決めており、全国規模の集票は難しい。選挙区では協力関係にある公明党には北海道・東北地区に軸足を置く比例候補がおり、票を奪い合う関係になる。
自民県連内には「公明との関係に水を差しかねない」と不信感もくすぶり続ける。岩城氏は20万票、うち県内15万票を目標に掲げるが、「ハードルは高い」(陣営関係者)のが現実だ。
頼りの綱は3期18年の議員生活を支えた県内の支援組織。ある地元議員は「格好良いことばかり言っていても始まらない。草の根でやっていくしかない」と語り、県内での票固めに全力を挙げる考えだ。
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