ラジニ・バイディヤナザン、BBC南アジア特派員
武装勢力タリバンが権力を掌握したアフガニスタンに、イギリスへの渡航許可を得ていたにもかかわらずカブール空港での混乱で退避便に間に合わなかったアフガン人が取り残されている。ある男性は、手遅れになる前に助けてほしいと、英政府に懇願している。
タリバンの復権を受け、欧米諸国は自国民やアフガン人協力者の退避を急いだ。8月31日の外国部隊の駐留期限を前に、イギリスは同28日に退避支援作戦を終了したが、避難対象となっている多くの人がアフガン国内に取り残された。
あるアフガン人男性は、BBCに自らの体験を語ってくれた。男性の安全を守るため、記事では身元を伏せてある。
私は今まさに地獄の中にいる。
この2週間、私は家族と一緒に安全な場所を求め、住む場所を15回も変えている。こうしている間もタリバンは私を探している。
最近はドアをノックする音が聞こえると、ある考えが真っ先に頭をよぎる。
「タリバンが来たかもしれない、私や家族を探し出したのかもしれない」と、心臓が止まる思いだ。
こんな状況に置かれているのは私だけではない。政府やメディア、NGO団体、人権団体で働いていた何百人もの人が、次は自分の番かもしれないと、それぞれ別の場所に身を潜めている。
タリバンはこうした人たちを拘束し、殺害しようとしている。私もそのうちの1人だ。
私たちの状況は最悪だ。
イギリスへの渡航許可を得ていた私は、カブール空港へ向かった。しかし、どのゲートにも4000~5000人ほどが大挙していて空港内へ入れず、その場に36時間近くとどまった。
私はブルカをかぶり、11カ所の検問所を通過したが、結局タリバンは私たちを通してはくれなかった。
その日そこでは、15~16家族が同じく立ち往生していた。イギリスのパスポートを持っている人もいた。彼らもまた、家を転々としながら出国する方法を探っている。
自爆攻撃があったあの夜、私は空港の近くにいた。爆発が起きたアビー・ゲートの近くに。
私の幼い子供たちはすごく怖がっていた。今でも夜寝ている時にパニックになることがある。
今の私にどんな選択肢があるのか分からない。多くの国境が閉鎖されているので。私はメールで助けを求めようとしている。どうすれば自分の家族を安全な場所に連れていけるのか。その方法を見つけ出そうとしている。
英政府は退避させるという約束を守り、自分たちの国のために働いていた人を優先する必要がある。
みんなイギリスのために犠牲を払ってきた。
どうか脱出する方法を見つけてほしい。
数日内に脱出できなければ、自分は死んでしまうかもしれない。そう思うとぞっとする。
私は自分の命よりも家族のことが心配だ。
私の幼い子供たちはこの世の中のことを何も知らない。
なぜ子供たちが、私の罪の罰を受けなければならないのか。タリバンは私の仕事を罪とみなしている。私たちにはあまり時間が残っていない。せいぜい3~4日が限界だろう。
英政府にこのメッセージを伝えたい。
「私たちは生き延びるために戦っている。助かるかどうかは、数時間あるいは数日間ではなく、あと数秒にかかっている」と。
英外務・英連邦・開発省の報道官はBBCに対し、イギリスが8月15日以降、「この種の退避作戦としては史上最大規模の作戦によって」、英国民やアフガン人スタッフ、危険にさらされている人など1万5000人以上をアフガン国外に退避させたと説明した。
「英国民と渡航許可のあるアフガン人を国外退避させるという我々の義務を果たすべく、今後も全力を尽くす」と、同報道官は付け加えた。
ドミニク・ラーブ英外相は8月29日、主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)加盟国のほか、トルコやカタールとバーチャルで会談。渡航許可のあるアフガン難民が安全に避難できるルートを確保するため、協力を促した。また、「過去20年間の前進」と「人権」を守る必要性を強調した。
からの記事と詳細 ( 「脱出できなければ死ぬ」 アフガンに残された男性の命がけの訴え - BBCニュース )
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