―[言論ストロングスタイル]―
安倍内閣の検察への人事介入が汚職隠しでなければ何なのか?
国家権力を三つに割って、三つの機関が行使し、監視しあって均衡を保つ。これを三権分立と称する。
では、現実に日本の三権を掌握しているのは誰か。司法権は検察庁、行政権は財務省主計局、そして立法権は内閣法制局である。
国政において、日常的に日本を差配するのは財務省主計局である。国家の意思である予算を通じて、日本を統治する。財務省主計局は平時の支配者だ。
一方、平時があれば有事がある。検察が政治の中心に躍り出る時は、必ず有事である。今が、そうだ。
そして、常に影に隠れて権力を振るうのが内閣法制局である。彼らは、平時にも有事にも、最強の権威機関として登場する。
さて、安倍内閣が検察人事に介入し、黒川弘務東京高検検事長の定年を、黒川氏の誕生日の一週間前に突如として延長するという暴挙をやらかし、国会で連日の如く追及されている。当たり前だ。
本来、検察は政権から独立していなければならない。検察は国会議員をも逮捕する権限があるのだから、時の政権の意思に左右されては、正義が蹂躙される。
ところが、安倍官邸の露骨な人事介入により、検察の現場は大混乱している。IR事件の捜査は事実上の終結、河井前法相夫妻の公職選挙法違反の捜査にも及び腰であると伝わる。総理大臣は検事総長を通じて、国会議員の逮捕を止める権限がある(これは指揮権発動と呼ばれる)。絶大な権限を持つ総理大臣が人事介入してくるとは、「それ以上捜査を続けるなら、次は指揮権発動だ」との恫喝に他ならない。
安倍内閣の検察への人事介入が汚職隠しでなければ何なのか? 世の中はコロナウィルス一色だが、世間の目が一方向に向いているときは、悪事がなされやすい。
現在、政権御用メディア筆頭の読売新聞は「報道しない自由」を行使中である。読売の幹部は事の重大性に気付いてほしくないのだろう。
一方、熱心に報道しているのは朝日新聞とTBSである。リベラルメディアの代表である。この7年間、彼らは「何が何でも安倍が悪い」とする“アベノセイダーズ”であり続けた。そして、他に言うことと言えば“アベノシンジャーズ”への批判くらいである。
いくらなんでもそれはないのだが、マトモな言論をしてこなかった彼らの愚かな姿勢は、圧倒的多数の日本人の信用を無くしてしまった。その“アベノセイダーズ”代表である朝日とTBSしか言わないし、当然ながら国会でこの問題を取り上げるのは特定の野党だけなので、ますます国民に相手にされない。だが、たまに真実を吐くから“オオカミ少年”なのだ。
事態は「安倍ネトウヨ内閣vsいつものパヨク」という牧歌的な構図ではなく、「安倍内閣vs法務検察」の死闘だ。内閣で矢面に立つのは森まさこ法務大臣、法務検察は野党とマスコミを使って襲い掛かる。ここに、霞が関最強官庁が介入した。
本来、法律では検事の定年延長は認められていない。検察庁法では、検事総長のみ65歳で他の検事は63歳、と明記されている。その上位法である国家公務員法で定年を制定した際、当時の政府は「検事は国家公務員法の適用外」と明言した。これは政府公式見解である。
ところが今年1月、安倍内閣は突如として国家公務員法を黒川検事長に適用して、定年を延長した。
こんなことは本来ならば、できないはずである。立憲民主党や国民民主党は、この点を突いた。森法相は、目も当てられないほど右往左往するしかない。政治家の人事介入を嫌がる法務官僚が、わざと出来の悪い答弁を作成してサボタージュしているのではと勘繰りたくなる。あげく、森法相は「事前に人事院とも、内閣法制局とも相談した! 自分たちの解釈に自信を持っている」と、もはやヒステリーだ。
ところが肝心の安倍首相は「解釈変更を行った」とシレッと答弁する。
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March 02, 2020 at 06:31AM
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