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Wednesday, March 25, 2020

部下が上司の期待通りに働かない理由 - ダイヤモンド・オンライン

入山章栄

いりやまあきえ

[早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授]

慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。

三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。

2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。

著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。

 

<『世界標準の経営理論』書籍紹介>

世界の経営学では、複雑なビジネス・経営・組織のメカニズムを解き明かすために、「経営理論」が発展してきた。

その膨大な検証の蓄積から、「ビジネスの真理に肉薄している可能性が高い」として生き残ってきた「標準理論」とでも言うべきものが、約30ある。まさに世界の最高レベルの経営学者の、英知の結集である。これは、その標準理論を解放し、可能なかぎり網羅・体系的に、そして圧倒的なわかりやすさでまとめた史上初の書籍である。

本書は、大学生・(社会人)大学院生などには、初めて完全に体系化された「経営理論の教科書」となり、研究者には自身の専門以外の知見を得る「ガイドブック」となり、そしてビジネスパーソンには、ご自身の思考を深め、解放させる「軸」となるだろう。正解のない時代にこそ必要な「思考の軸」を、本書で得てほしい。

『世界標準の経営理論』購入はこちらから 

  • 世界標準の経営理論

    世界の経営学では、複雑なビジネス・経営・組織のメカニズムを解き明かすために、「経営理論」が発展してきた。

     その膨大な検証の蓄積から、「ビジネスの真理に肉薄している可能性が高い」として生き残ってきた「標準理論」とでも言うべきものが、約30ある。まさに世界の最高レベルの経営学者の、英知の結集である。これは、その標準理論を解放し、可能なかぎり網羅・体系的に、そして圧倒的なわかりやすさでまとめた史上初の書籍である。

    本書は、大学生・(社会人)大学院生などには、初めて完全に体系化された「経営理論の教科書」となり、研究者には自身の専門以外の知見を得る「ガイドブック」となり、そしてビジネスパーソンには、ご自身の思考を深め、解放させる「軸」となるだろう。正解のない時代にこそ必要な「思考の軸」を、本書で得てほしい。

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Photo:iStock

2019年12月の発売から1カ月で5万部を突破し、いまもなお好調な販売が続く入山章栄氏の最新刊 『世界標準の経営理論』。ビジネス思考の軸を定めるために活用できる、世界中を見渡しても稀な一冊といえる。800ページを超える本書は、約30の経営理論を網羅する大作だ。内容は章ごとに完結しており、いつ、どこから読んでも良い。ビジネスに関わる全ての人が、辞書のように利用できるのが本書の特徴だ。

多くのビジネスマンは組織に所属しながらビジネスに関わっているはずだ。この組織を知る上で、基礎となるのが組織の経済学である。前回までは、組織の経済学の最初の理論として「情報の経済学」を取り上げた。実際のビジネスシーンでは、関係者の持つ情報が異なる状況、すなわち「情報の非対称性」が常に発生している。今回はこうした現実に加えて、人間の合理性がもたらす問題に焦点を当てる「エージェンシー理論」を紐解いていく。

入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。 三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。 2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。 著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。
Photo by Aiko Suzuki

「情報の非対称性」を取り入れ、企業組織の問題に切り込む

 前回までは、組織の経済学の最初の理論として「情報の経済学」を取り上げ、情報の非対称性に起因するアドバース・セレクション問題について議論した。前章で述べたように組織の経済学は、古典的な経済学の持つ「人間についての仮定」を崩すことが出発点だ。前章と本章では、すべてのプレーヤーが同じ情報を持つという完備情報の仮定を崩し、「情報の非対称性」を取り入れる。人間についての仮定をより現実に近づけることで、複雑な企業組織の問題に肉薄できるのだ。

 アドバース・セレクションとは、実際のビジネス取引前からプレーヤー間に情報の非対称性が発生し、結果として本来望ましいはずの取引ができなくなることだった。その例として中古車の取引や、保険ビジネス、就職活動などを取り上げ、これらの取引ではアドバース・セレクション問題によっていかに取引が「薄く」なっているかを解説した。

 それに対して、取引が成立した後に組織で生じる問題を説明するのが、エージェンシー理論である(※1)

サブスクリプション型ビジネスに顕著な「顧客の変化」という問題

 保険ビジネスを取り上げよう。例えば、Aさんは注意深く運転するので自動車事故を起こしにくく、Bさんは不注意で事故を起こしやすいとする。しかし、誰が注意深くて、誰が注意深くないかは、本人しか知らないこと(私的情報)なので、保険会社は「誰が事故を起こしやすいか」がわからない(情報の非対称性)。

 したがって保険会社は、AさんにもBさんにも同じように高い保険料を提示せざるをえない。結果、保険料に納得しないAさんは保険に加入せず、本来なら保険会社にとって望ましくないBさんだけが保険に加入するというのが、アドバース・セレクション問題の骨子だった。

 さてここからが本論である。中古車取引と保険取引には、大きな違いがある。前者は中古車売買が成立すれば、そこでプレーヤー間の取引関係は終わりだが、後者は取引成立後も関係が続くことだ。そこで仮に、保険会社がアドバース・セレクションを乗り越えて、AさんにもBさんにも保険を購入してもらったとしよう。すると、保険会社はさらなる問題に直面する。なぜなら、もともとは注意深かったAさんだが、保険に入った後は「以前ほど注意深く行動しなくていい」と考えるインセンティブ(動機づけ)が出てくるからだ。

 そもそもAさんが注意深かったのは、保険がなかったからだ。しかし一度保険に入れば事故を起こしても損失がカバーされるため、Aさんが以前ほど注意深く運転しなくなるのはある意味「合理的」だ。保険会社にとって優良顧客だったはずのAさんが、保険に入ったがゆえに優良顧客でなくなるのだ。もともと注意深くなかったBさんが保険に入れば、さらに注意深くなくなるのは言うまでもない。

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March 26, 2020 at 02:35AM
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