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Sunday, March 29, 2020

「苦しいからと解雇してはならない」 - 東亜日報


Yが、私を含む高校の同窓生らと連絡を断って数年が経つ。数人の友人から生活費を借りたことが理由だった。貸した側ではなかったことにできる金額だったが、借りた側としては、返せない罪悪感で身を隠したのだろう。時々、Yが大学時代に1年間の語学研修と1年間の休学をしなかったならどうなっていたかと考える。そうだったなら、通貨危機の翌年に大学を卒業し、殺伐とした就職市場で道に迷うこともなかっただろう。就職できずに親の金まで使って自営業を始めなくてもよく、店をたたんで再び求職市場に出た時、年齢のために履歴書も出せない状況に追い込まれることもなかっただろう。経歴がないためろくな職につけず、職場を転々とすることもなく、金融危機でそれさえ難しくなって、生活苦に陥ることもなかっただろう。

Yはただ時を誤って選んだだけだった。各世代で困難があるだろうが、社会生活のスタートを危機とともに始めた40、50代には多くのYがいる。階層移動のはしごが断たれたというが、危機が来れば階層維持の欄干まで崩れ落ちる。40代はすでに昨年から会社から最も多く押し出される年齢層になっている。一度押し出されれば、周囲に残ることになり、その傷は次の世代に引き継がれることを2度の危機を通じて目の当たりにした。

歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリの言葉のように、今回の危機は私たちの世代が体験する最大の危機かもしれず、検証されず、危険すらある応急処方は、嵐が過ぎ去った後に新しい標準になり、全く違う世の中を作り出すだろう。通貨危機後、アジア企業の競争範囲が自意であれ他意であれ国家から世界に拡張され、労働者の雇用形態が多様な非正規まで含むようになったように。新型コロナウイルス後、産業界では大規模な在宅勤務が導入され、教育界では学校共同体で習得されるべき非教科的体験が省略された遠隔教育の導入が議論されている。このような形の「非対面実験」は、危機が終わった後、新しい発展を誘引する火種になり得るが、もしかすると労働の需要を減らす実験のさらなる名前かもしれない。

雇用市場はさらに柔軟でなければならず、新技術の導入はもっと早くなければならず、企業はさらに競争的でなければならない。しかし、そのためには社会の需要性を高める作業が先行しなければならない。体力が落ちた患者を手術台に載せることができないことと同じ論理だ。2008年の金融危機の時、具本茂(ク・ポンム)LGグループ会長(当時)は、「苦しいからと解雇してはならない」と系列会社に頼んだ。「そうしてこそ後に成長の機会が来た時、それを逃さない。すべての変化と革新の中心は構成員だ」という理由だった。当時、この発言は失職の恐怖が襲撃した韓国社会に大きな慰めを与えた。具氏の発言から経営者の文法を見ると、共同体の一員としての義務と責任を読むことができる。

今回の危機もYのような餌食を探し回るだろう。具氏がそうしたように共同体を生かすためのすべての力が必要な時だ。企業はできるだけ雇用を維持し、労働者は他の人の雇用のためにも自身の権利を少しずつ譲歩してほしい。政府もこのような時、企業の規制と労働の規制を解かなければならない。できなければ一時的でも緩和すべきだ。財政だけで持ちこたえられる時ではない。三星(サムソン)と現代(ヒョンデ)自動車が新入社員の採用を再開するという。幸いであり有難い。このような努力が積み重なって、今回は過去2度の危機の時のように空しく倒れることがないことを祈る。

コ・ギジョン記者 koh@donga.com

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