安倍晋三内閣が平成29年、臨時国会の召集要求に約3カ月応じなかったのは違憲として野党の国会議員らが国に損害賠償などを求めた3件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は12日、上告を棄却した。原告敗訴とした1、2審判決が確定。裁判官5人中4人の多数意見による結論で、1人が反対意見を付けた。
憲法53条は、衆参いずれかの4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと規定。要求から召集までの期間は明示していない。憲法53条に関し最高裁が判断を示すのは初めて。
原告側は、森友、加計学園の問題の疑惑解明のため「要求から20日以内に臨時国会を開くべきだった」などと主張。安倍内閣は要求から約3カ月後に召集し、冒頭に衆院を解散しており「国会質問ができず、議員個人の権利が侵害された」として、東京、岡山、那覇の3地裁に提訴した。
東京訴訟の原告の小西洋之参院議員(立憲民主党)は、次に臨時国会を召集する際、内閣は20日以内に召集する義務を負うことの確認も求めた。
1、2審判決はいずれも請求を退ける一方、安倍内閣の対応が違憲かどうかは判断しなかった。
この日の判決で同小法廷は、憲法53条の規定は「個々の国会議員の権利や利益を保障したものではない」との判断を示し、召集決定の遅れを理由に国家賠償請求をすることはできないとした。
小西氏の訴えについては「裁判で争える」とした上で「いつ召集決定がされるかは現時点で不明」などとして退けた。
一方、反対意見を付した行政法学者出身の宇賀克也裁判官は、召集遅延に「特段の事情」がなければ賠償命令が相当などと指摘。要求から臨時国会召集までの期間も「20日あれば十分」とした。
判決後に記者会見した小西氏は「将来、臨時国会召集を要求しても20日以内に召集されない場合、こうした訴訟に訴える道が開かれた」と述べ、判決を評価した。
国会召集義務訴訟、原告敗訴の2審維持の方向 最高裁が上告審判決期日指定
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