こんにちは。山下です。前回、第3回『超訳ドラッカーの言葉』部課長編では、部下を正しく方向付ける必要性と、ある企業の事例を紹介した。今回のテーマは強みについてだ。この連載では、生まれ持った得意な仕事のやり方のことを強みと定義して話を進める。あなたはどんな強みを持っているのだろうか。
ビジネスパーソン共通の責任
私たちは、成果をあげるために仕事をしている。多くのビジネスパーソンが成果をあげられない日々と対峙(たいじ)し、成果をあげるためにどうすればいいか思い悩んでいる。成果をあげるために、どうすればいいのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
人それぞれ手紋が違うように、その個性もみんな違います。
仕事上の個性も、人それぞれです。
その個性は、多少の修正はできても変更することはできません。
それは、もって生まれたものだからです。
どんな人も、自分の強みで成果をあげます。
弱みで成果をあげることはできません。
人は自分の得意なやり方で成果をあげます。
成果をあげるために、自分の仕事上の個性を知り、
その個性を生かしていきましょう。
『超訳 ドラッカーの言葉』
成果は強みからしか生まれない。したがって、成果をあげるために、自分の強みを知らなければならない。それは理想の話ではなく厳しい現実である。強みを生かすことは責任である。
あなたの得意なことがあなたの強み
日々の仕事はインプットとアウトプットの連続だ。インプットとは、読書をして知識を得たり、ニュースを見て情報を知ったり、何かをメモして記憶することである。アウトプットとは、企画を発案したり、資料を作成したり、誰かにプレゼンすることである。あなたは常に何かをインプットし、常に何かをアウトプットしている。情報のインプットは、人が書いた文字を読むか、人の話を聞くかのどちらかだ。情報のアウトプットは、口頭で伝えるか、資料で伝えるかのどちらかだ。
ほとんどの人に利き手がある。右手と左手両方が利き手という人もいなければ、両方とも利き手でないという人もいない。誰もが右手か左手のどちらかが利き手である。それと同じように、情報のインプットとアウトプットにも、人それぞれに利き手のようなものがある。それは得意な仕事のやり方であり、それが強みである。
あなたはどのタイプ?
人の強みはさまざまな相違や差異がある。一人ひとり人間が違う以上、1つとして同じ強みはない。しかし傾向はある。ここで人の強みの傾向をお伝えしたい。書籍『超訳 ドラッカーの言葉』からその一部を紹介する。自分の強みを理解し、自分の強みを生かすことによって、より成果をあげられるようになるはずだ。頭の中でチェックマークを付けてみてほしい。あなたはどのタイプに該当するだろうか。書籍からの抜粋であるため、文調が変わることをご了承願いたい。
読んで理解するタイプ
アメリカの第34代大統領アイゼンハワーは、司令官時代、記者から書面でもらった質問をしっかり読み込んでから、記者会見に臨みました。彼の記者会見の素晴らしさは、広く知れ渡っていました。ところが、彼は大統領に就任してから、その場で投げかけられる質問に、うまく答えることができませんでした。記者から馬鹿にされました。彼の記者会見の酷さは、広く知れ渡りました。彼は、得意なやり方で成果をあげ、得意でないやり方で失敗しました。彼は「読んで理解するタイプ」であり、「聞いて理解するタイプ」ではなかったのです。あなたは、得意でない仕事のやり方で、失敗を招かないようにしましょう。
読んで記憶するタイプ
舞台役者やドラマ俳優に限らず、役者である彼らは、台本を記憶することが得意です。「台本を1回読めば、セリフはだいたい頭に入るし、演技できる。」そういう役者は多くいます。実際、台本を1回読んだだけでセリフを覚える彼らの仕事に、関係者はいつも驚かされるといいます。役者として成功を築いた人の多くは、「読んで記憶するタイプ」です。あなたも自分の得意な仕事のやり方で、成功を築いていきましょう。
書いて理解するタイプ
相対性理論を説いた、アインシュタインの話です。彼は、小学生の頃、教室の前に立って話す授業の内容が理解できませんでした。言葉で何かを伝えることも苦手で、友人と遊ぶことはほとんどありませんでした。暗記が苦手だったことは有名な話です。彼は、「聞いて理解するタイプ」でも、「話して理解するタイプ」でも、「読んで記憶するタイプ」でもありませんでした。アインシュタインは黒板を愛用していました。彼は「書いて理解するタイプ」だったのです。あなたも、自分が得意とするやり方に徹していきましょう。
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