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Sunday, April 23, 2023

【寄稿】半導体、日本のプライド外交が生んだ惨劇 - 朝鮮日報

 「韓国は全世界で製造業5位、半導体・電池生産1-2位、大規模軍隊と防衛産業を持つ国家だ。米国も日本も中国をけん制し、先端技術サプライチェーンの再編など戦略目標を実現するためには、韓国の協力が必要だ。そんな韓国の能力を最大限てことして利用し、同盟に苦言を呈し、激しく交渉してこそ、韓国の未来を守ることができる」

 韓国のリベラル紙ハンギョレ新聞のパク・ミンヒ論説委員が3月17日付で書いたコラムの一部だ。筆者はこの文章を読んで新鮮な衝撃を受けた。2020年代、韓国で自らを「リベラル」と考える人々が数十年前の日本の極右政治家を連想させる主張をしているからだ。

 1980年代、NEC、東芝、日立、富士通、松下電器(現パナソニック)など日本の5大メーカーが世界半導体市場の頂点にあった。DRAM市場で日本企業の合計シェアは80%に迫っていた。輝かしい成果に目がくらんだのか、敗戦の悲しみを忘れて暮らしていた日本人の国家的プライドが頭をもたげ始めた。ソニーの創業者、盛田昭夫は米国人に「正しい経営技法」を教え始め、ついに小説家で極右政治家である石原慎太郎と「『NO』と言える日本」を共著した。

 石原氏はまるで石油輸出国機構(OPEC)加盟国が石油輸出規制を武器にしているように、日本は半導体輸出を武器に米国に対して日本のプライドを回復できるという抱負を示していた。「中距離核兵器であれ大陸間弾道ミサイルであれ、そうした兵器の正確性はほかでもなく、まさに非常に小さく高度に精密なコンピューターによって勝敗が分かれる。もし日本製半導体が使われなければ、その正確性を保障することはできない」--。日本なしでは先端兵器を作ることができないため、米国も日本にひざまずくか、少なくとも顔色をうかがわなければならない状況になったとの指摘だった。石原は堂々と宣言した。先端半導体は「軍事力の核心であり、したがって日本の力の核心だ。…ある面で日本はとても重要な国になったのだ」と。

 石原一人の考えなら、米国もこれといった反応を示さなかったかもしれない。しかし、「『NO』と言える日本」には盛田昭夫の名前が共著者として刻まれていた。ワシントンの政界が大騒ぎになったのは当然のことだ。情報機関の内部回覧用に作られた要約本が書店に出回るほどだった。その後の展開はよく知られている通りだ。日米半導体協定とプラザ合意が続き、日本の半導体メーカーは歴史の中に消え去り、韓国企業がそのすきを突いて参入した結果、現在の世界経済地図が完成した。

 米タフツ大学のクリス・ミラー教授は著書「チップウォー(Chip War)」で韓国半導体産業の成長について印象的な説明を行った。米国が「敵の少ない友人」と判断し、日本の半導体産業をけん制するために韓国を積極支援したというのだ。インテルは当時、技術力が不足していたサムスンのメモリーチップにインテルブランドを付けて販売することを認めた。経営破綻危機に追い込まれた米マイクロンは、サムスンに64キロビットDRAMの設計を提供し、ライセンス生産を許可した。

 そうした協力が可能だったのは、金銭のおかげだけではなかった。シリコンバレーが蓄積したメモリー半導体技術が韓国に渡った際、ワシントンの政界はブレーキをかけなかった。後方支援にとどまっていた日本と違って、韓国は時には米国より多くの兵力を送り、ベトナムで一緒に血を流した血盟だった。米国にとっては、プライドを示し始めた日本よりもさらに忠実な同盟国がメモリー半導体市場を掌握した方がよいという認識を抱いたのではなかろうか。

 当時も今も日本は半導体の素材、部品、設備分野で強大な市場支配力を誇る。米国が第3国での半導体生産を阻止するためには、日本の協力が不可欠であるほどだ。そんな日本でさえ、米国を相手にプライドを築こうとしてメモリー半導体分野を丸ごと失ってしまった。極右政治特有の血気盛んさが生んだ苦い結果だ。21世紀の韓国の自称リベラルは、20世紀の日本の極右と同じわなにかかっている。

 日本に勝つためには、米国の力を借りなければならない。米国は未来志向的な韓日和解を望む。日本に「負ける」姿を演出することは日本に勝つための第一歩だ。歴史を忘れた民族に未来はないというが、我々が記憶しなければならないのは我々の歴史だけではないように思える。

ノ・ジョンテ経済社会研究院専門委員(哲学)

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