2022年はロシアによるウクライナ侵攻、3年目を迎えた新型コロナウイルスの流行、急激な円安など波乱の1年となった。想定外が立て続けに起きる五里霧中の状況で、経営者はどう考え、振る舞えばいいのか。伊藤忠商事の岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)は、「1年先も予想できないのに、中長期の経営計画を作るなんて無駄」と喝破する。
岡藤正広[おかふじ・まさひろ]氏
1949年、大阪府生まれ。74年に東京大学経済学部を卒業し、伊藤忠商事に入社。2006年専務、09年副社長を経て、10年4月に社長。繊維部門が長い。18年4月から代表取締役会長CEO(最高経営責任者)。朝型勤務を軸にした働き方改革や、「か・け・ふ(稼ぐ、削る、防ぐ)」や「マーケットイン」といった経営に関わるユニークなコピーで知られている。(写真:的野弘路、以下同じ)
2022年は激動の年でした。
岡藤正広・伊藤忠商事会長CEO(以下、岡藤氏):22年は、いかに予想というものが当たらないか、皆さんが痛感したと思うんですよね。ロシアによるウクライナ侵攻や、1ドル=151円もの円安なんて、誰も予想していなかった。1年先のことも分からないのだから、企業が中長期の予想を立てて経営に反映しようとしていたのが、いかに無駄だったかと。もう22年を振り返ってもあまり意味は無いでしょう。
予想が当たらない時代ではありますが、明らかに言えるのは、23年には引き続き2つのリスクがあるということ。1つはウクライナ戦争。ここまでこじれると、善悪は別にして双方とも引くに引けなくなっていますよね。急転直下、解決ということもあるかもしれませんが、基本的には長引くと想定していた方がいいでしょう。エネルギー価格の高騰は続けば、米国より欧州の方が厳しい影響を受けるでしょう。
もう1つは中国。今回、ゼロコロナ政策を変えました。先日、うちの駐在員と話をしたら、住んでいるマンションの住民の約4割が感染しているらしいんですな。中国政府は「単なる風邪のようなもの」と言っていますが、今後、感染は増えるでしょう。そうなれば行動制限も実施することとなり、景気回復は鈍るでしょう。
この2つの大きなリスク要因は、予想が外れるということはないと考えていいのではないでしょうか。
皆が「まだいける」と思ってお金を張り、損をする
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