秋葉賢也復興相と杉田水脈総務政務官が更迭される見通しになった。支持率低下にあえぐ政権の迷走が止まらない。岸田文雄首相は任命責任とあわせて、問題発覚後も擁護してきたことへの説明責任が問われる。就任前から差別的な言動が目立っていた杉田氏を巡っては、政務三役への登用そのものを疑問視する声が以前から根強かった。2人を退場させたところで国民の政治不信は容易に払拭できそうにない。(佐藤裕介、柚木まり、奥野斐)
「先の臨時国会で閣僚の辞任が続いたことについては、私自身、任命責任を重く受け止めなければならない。こうした事態が政策実行に支障をもたらすことがないよう、一丸となって取り組んでいかなければならない」
首相は26日の講演で、閣僚の「辞任ドミノ」が起きたことを陳謝。政治の信頼回復を図る姿勢を強調した。
もっとも、この間の首相の対応はいずれも世論を様子見した後、批判が高まってから更迭することの繰り返しだった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりが問題となった山際大志郎前経済再生担当相、「死刑のはんこ」発言の葉梨康弘前法相、「政治とカネ」問題の寺田稔前総務相を巡る判断は後手に回り、外交日程に影響が出る異例の事態も招いた。
秋葉氏についても、代表を務める政治団体が妻と母親に地元事務所の賃料として計約1400万円を支払っていたと判明したのは10月。その後、公選法違反の疑惑も浮上し、自民党内では「辞任は仕方がない」(ベテラン議員)という見方が広がったが、続投させていた。
立憲民主党の安住淳国対委員長は国会内で記者団に「さすがに首相自身の責任が問われる。本来なら総辞職しないといけないような話だ」と指摘。共産党の小池晃書記局長も記者会見で「任命責任とともに、ずるずると続けさせたという二重の責任が問われている」と批判した。
杉田氏は、主に就任前の問題が原因で更迭されることになる。首相は杉田氏の政務官起用を「職責を果たすだけの能力を持った人物と判断した」と正当化していたが、任命権者としての判断能力の欠如が露呈した形だ。
杉田氏は2018年、性的少数者について「生産性がない」とする持論を月刊誌に寄稿し、批判を浴びた。だが、長く撤回せずに、ようやく謝罪、撤回したのは今月2日。それも自発的ではなく、上司の松本剛明総務相の指示によるものだった。
女性蔑視ととれる言動も物議を醸した。性暴力被害を公表した女性ジャーナリストを中傷するツイッター投稿に「いいね」を押した18年の一件が象徴的だ。名誉
自民党本部前で、杉田氏の更迭を求めるデモに参加したことがある性的少数者の当事者団体の松岡宗嗣代表(28)は「交代は当然だが、差別発言を繰り返し、人権をないがしろにしてきた人を起用した政権の責任が問われるべきだ」と批判。「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長(47)は、「ジェンダー平等や人権の視点がない人を要職に就ける政治では、日本の信頼を失墜させる」と指摘した。
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