米国・ワシントンで5月12~13日、米国・ASEAN特別サミットが開催された(2022年5月17日記事参照)。インド太平洋地域における相互協力、特に米国バイデン政権の構想である「インド太平洋経済枠組み」(IPEF、2022年2月9日付地域・分析レポート)に関して、ASEANの複数の首脳からコメントが出された。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はサミットにおいて、「ASEANは50年以上にわたり、対話とルールに基づく秩序の慣習を奨励してきた」とした上で、「ASEANのインド太平洋構想(AOIP、2019年6月28日記事参照)と米国のインド太平洋戦略(2022年2月14日記事参照)を通して、同地域でも同様の考えを推奨したい」とコメントした。また、「IPEFにおける協力は包括的なものでなければならない」と発言した(インドネシア大統領府ウェブサイト)。
シンガポールのリー・シェンロン首相は現地紙の取材に対し、「IPEFは多くのASEAN諸国が関心を有しており、複数の国は立ち上げと同時に参加予定である」とした上で、シンガポールも支持することを明らかにした。同時に「アジア太平洋における米国の参画は、安全保障と防衛だけに限定されるものではなく、経済協力や環境問題などの分野も含める必要がある」とした(「ストレーツ・タイムズ」5月15日)。
一方、マレーシアのイスマイル・サブリ首相は、米国産業界との意見交換の場において、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効に触れつつ「米国はASEANとより積極的な貿易・投資に関する協定を締結すべきだ」と発言した(「ロイター」5月13日)。また、同国のアズミン・アリ国際貿易産業相はメディアの取材に対し、「IPEFは環境や気候変動問題など、非伝統的な要素を含む様々な問題に取り組む良いきっかけとなる」としつつも、「参加するか検討する必要がある」とコメントした(「ロイター」5月14日)。
ベトナムのファム・ミン・チン首相は、5月11日に米国戦略国際問題研究所(CSIS)が開催したセミナーに登壇し、「IPEFの詳細が明らかになった際には、我々は米国と議論を行う用意がある」とした(CSISウェブサイト)。
カンボジアのフン・セン首相は5月11日、米国在住のカンボジア人の集会に出席し「インド太平洋に関するいかなる構想も支持するが、ASEAN中心性などを尊重するものでなければならない」と強調した(「クメール・タイムズ」5月13日)。
(上野渉)
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