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Friday, February 18, 2022

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから - 朝日新聞デジタル

クリエーターの発掘や育成を目的にした短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」。2月公開のSeason2の「The Little Star」(紀里谷和明監督)で共演した山田孝之さんと松本まりかさんが、短編の魅力と難しさ、映像作品への向き合い方などを熱く語り合った。

PROFILE

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから
山田孝之さん

山田孝之

1983年生まれ。99年俳優デビュー。2003年、ドラマ「WATER BOYS」で主演を務める。俳優、映画監督、映画プロデューサーなど多方面で活躍。公式Instagram

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから
松本まりかさん

松本まりか

1984年生まれ。2000年、ドラマ「六番目の小夜子」でデビュー。18年放送のドラマ「ホリデイラブ」などで注目を集める。4月スタートのドラマ「妖怪シェアハウス―帰ってきたん怪―」(テレビ朝日系)に出演予定。公式Instagram

空っぽの自分が染まっていった


――今回、お二人は紀里谷和明監督の作品「The Little Star」で、幼い娘を残酷な事件で失う夫婦を演じています。どんな役作りで臨んだのでしょうか?

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから

松本 役作りって言っていいかわからないですけど、空っぽの状態を作るという役作りをしました。実は撮影に入る前に、監督から「どういうやり方がいいですか? 脚本にセリフを書いたほうがいいですか?」と聞かれたのです。孝之は「いらない」と。じゃあ私もいりません、その代わりに洗脳してください、とお願いして。

山田 してたね。

松本 監督の演出に空っぽの自分が染まっていき、感情が呼び覚まされ、ああ、なんとなくわかってきた……。そして目を開けるとそこに孝之がいて、ぶつかり合う。そんな風に撮っていきました。正直、どうなるかわからないギャンブル感はあったけれど、予想も想像もつかないところまで転がっていき、ミラクルみたいな瞬間がたくさんありました。どんな風になっても大丈夫だ!という安心感があったのは、相手が孝之だったから。

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから

山田 事前に何かを用意していっても、まりかがどういう表情で、どのタイミングで何を言うかがわからない。だから僕も多くは準備していきませんでした。まりかとはお互い10代でデビューしたばかりのドラマ以来、約20年ぶりの共演だった。でも、時間が経っていても揺るぎない信頼関係、安心感がありましたね。すぐに役としてぶつかり合い、一つになれた。

わかりやすいものは見やすい、けど

――家族の幸せな時間、不安、悲しみ、怒り、絶望、贖罪(しょくざい)……。わずか15分の間に、息ができないほどの残酷な展開と慟哭(どうこく)が詰まっています。演じる立場で感じる短編映画の魅力、難しさは?

山田 僕ら俳優は芝居をするときに役の人物にならないといけないので、情報が多いほどやりやすいのですが、短編は出来上がりの作品自体が短いので、脚本に書かれている情報が圧倒的に少ないんです。今回も簡単な設定とト書きだけでした。だから、どんな人物か作る過程は長編に比べたら難しい。

ただ、この言い方が紀里谷さんの世界観に当てはまるかは分からないのですが、今回の作品には妄想なのか死後の世界なのか「別の次元」が存在し、僕には激しいアクションシーンがありました。長編だと、このシーンは何を意味しているのか、そもそもなぜこの男は特殊部隊みたいに動けるのか、どんな過去があるのかといった説明が必要になるけれど、短編はなくていい。単純にアクションパートとして見せればいい。どう受け止めるかは見る人が決めていい。

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから

松本 説明がない分、演じる側もそうだけど、見る側にも想像力が必要になるよね。短編映画って難しいものも少なくないし、今回の紀里谷監督の作品も想像力を働かせないと正直、わけわかんない(笑)。

山田 (笑)。パッと見はわかりにくいよね。何回か見ると、ああ、こういうことなのか、って。

山田孝之×松本まりか 20年ぶり共演の短編、揺るぎない信頼があったから

松本 そうそう。「行間」とか「余白」にあるものを考え、想像する。だから、見る人によって受け止め方が変わるかもしれない。誰にでもわかりやすいものは見やすいかもしれないけど、こういう作品を見て想像力を鍛えることって、学びになると思うんです。今、なんでも批判ばかりしてしまう世の中だけど、相手の立場を想像できたら解決できることも多いんじゃないかな。そして、映画を観る人の目線、想像力が高まっていったら、私たちはもっともっとクリエーティブなものを作らなきゃならなくなる。

そうやって受け手と作り手が相乗効果で高め合っていけたら、きっともっとおもしろい作品が生まれるはず。短編映画を作ること、いい作品を集めて世の中に提示することは、実はものすごく深い意味があって、社会的に必要で。孝之はそんなすごいことをやってたんだ!……って、今気づいちゃった(笑)。

山田 ありがたいねぇ(笑)。作品を見た人がクリエーターを育てていく。「MIRRORLIAR FILMS」はそんな場を目指してる。

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