「日韓戦は実現しなかったが、代わりに中東チームを一つも避けることはできなかった」
1日に行われた2020年カタールW杯アジア最終予選の組み合わせ抽選で、韓国代表のグループ結果を受け、こう報じたのはスポーツ専門サイト「SPOTVニュース」だ。
FIFAランク39位の韓国は、イラン(31位)、UAE(73位)、イラク(68位)、シリア(79位)、レバノン(93位)のグループAに決まった。対戦する5チームがすべて中東勢というなんとも厳しい組み合わせに、ほとんどの韓国メディアが嘆き節だ。
総合ニュースサイト「news1」は「中東の砂風を突き抜けなければならない大きな課題を抱えた。期待とは裏腹に最悪の対戦が作られた」とこちらも悲観的。
だが、一方で「スポーツ東亜」は「韓国は日本、オーストラリア、サウジアラビアを避けることになり、本戦進出に有利になった」と報じている。
「韓国が今回の最終予選の組み合わせ抽選で運がなかったわけではない。グループAで韓国が警戒しなければならないチームはイランだけだ」と伝え、冷静に実力を判断した場合、韓国の本大会出場は難しくないという見方だ。
韓国にとって最大の敵はもちろんイランなのだが、そのほかの中東勢とはアウェーで何が起こるかわからない。
過去、韓国が出場したW杯アジア予選で強烈に記憶に残っているのは、レバノンとのアウェー戦だ。
かつてレバノンとの敗戦で監督更迭も
2011年11月、チョ・グァンレ監督率いる韓国代表は、ブラジルW杯アジア3次予選でレバノンと対戦するため、首都・ベイルートに乗り込んだ。
主将はチャ・ドゥリ。当時、レバノンを相手に7戦6勝1分と無敗で、難なく勝利を収めると誰もが予想していた。
韓国は前半5分に先制点を奪われ出鼻をくじかれたが、その後PKで追いついた。しかし、再びレバノンにPKから追加点を奪われて1-2で敗北。
韓国メディアはこの敗戦を“レバノン・ショック”と表現。試合中にはFWイ・グノが観客席からレーザービームを当てられたりもしていた。
勝利が決まったあとレバノンの選手たちは涙を流し、観客はピッチ内に流れ込んで歓喜を爆発させた。スタジアムはまるでW杯で優勝でもしたかのような騒ぎようだった。この敗戦で最終予選進出が危ぶまれたことで、チョ監督は更迭された。
2013年6月のブラジルW杯アジア最終予選でも韓国はレバノンと同組で戦っているが、アウェーでは前半12分に先制され、後半アディショナルタイムにキム・チウがFKを決めてどうにか1-1で引き分けている。
そして今大会のカタールアジア2次予選で韓国は、同組だったレバノンに1勝1分と敗れていないが、最終予選も気を引き締めておきたいところ。
こうした危険が潜んでいるのが中東勢との試合だ。格下とはいえ侮っていては足元をすくわれる。
過密日程で欧州組の体調管理がカギ
9月から来年3月にかけて行われる最終予選だが、ひと月にホームとアウェーの2試合(9月2日と7日、10月7日と12日、11月11日と16日、2022年1月27日と2月1日、3月24日と29日)が行われる。選手にとって厳しいのは、試合間隔が短いこと。ホーム戦の5日後にアウェー戦が行われる。
こうなると特に欧州組のコンディション管理が本大会出場のカギになりそうだ。
というのも、例えばFWソン・フンミン(トッテナム)の場合、英国から韓国へ移動して試合をしたあと、すぐに中東へと飛ばなければならない。せわしないスケジュールに加え、長距離移動と時差が体調に影響を及ぼす可能性はあり得る。
最終予選では、各グループの首位と2位の計4チームがW杯本大会への出場権を獲得する。各グループ3位なら、アジアプレーオフで対戦し、その勝者が大陸間プレーオフを経てW杯出場を目指すことになる。
“死の組”と言われるほど波乱の予感もあるグループA。韓国は「日本を避けられた」と油断しないことだ。
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