
韓国に対するニヒリズム
日本人の多くは、韓国の国家としてのふるまいに対して、反感や違和感を持っているにちがいない。それは、当然のことだ。 2005年に山野車輪の『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)が刊行されたころから、日本のなかで「嫌韓」という現象が顕著になった。だがわたしの体感でいうと、非常に多くの日本人が「嫌韓」感情を持つようになったのは、2012年のことだった。 この年に当時の李明博・韓国大統領が突然竹島に上陸し、さらに「天皇が訪韓したいのだったら、独立運動家の子孫に謝罪せよ」という発言をしたのが大きかった。わたしのまわりの多くの韓国文化ファンたちが、このときから一気に嫌韓的な感情を持つようになった。それは実にすさまじい転向だった。 2013年には就任したばかりの朴槿恵大統領が、韓国外交の優先順位は「米国、中国、日本」の順だといういわずもがなの信じられない発言をした。先進国の首脳には次々と「告げ口外交」をし、「加害者と被害者の関係は千年経っても変わらない」と演説した。 2015年の暮れには慰安婦問題に関する歴史的な「日韓合意」が発表されたが、その後の韓国社会はこれに反対する市民運動団体の理不尽な主張に支配され、文在寅政権はこの合意を反故にするなど、政府間の国際的合意をいとも簡単に踏みにじった。 2018年には韓国の大法院(最高裁判所)が、元徴用工への慰謝料を日本企業が払うべきだという判決を出した。 2021年1月には、慰安婦問題に関してソウル地裁が日本政府に賠償命令をする判決を出した。その後4月の別の裁判の判決では「主権免除」の理由により訴えが退けられたが、そんなことで納得する日本人ではない。 もうすでに、韓国に対して「なにかを信頼して」「こわれた関係を誠実に修復しようと」努力しようなどというメンタリティは、日本人にはなくなってしまったと見てよい。韓国という国とは、関われば関わるほど裏切られる、という認識が、日本のなかでほぼかたまってしまったといってよい。 わたしは立場として「親韓派」なのだが、多くの日本人が上のような諦念と嫌悪と反感を韓国に対して持ってしまっていることも、よく理解できる。「韓国は正しい。日本は悪く、間違っている」というような思考停止の呪文を唱えるような「従韓派」ではわたしはない。 しかし安全保障や経済の側面では、韓国と決裂するという選択肢はありえないのだし、もっと文明論的にいうなら、米国と中国が文明的な対立構造に突入しつつあるいま、日本が協力すべき相手としては韓国以外ありえないのである。 ここで、大いなる発想の転換をする必要がある。つまり、たしかに韓国は、“きちんとした国家”としてはあるまじきふるまいをしているのだが、「ではそもそも韓国とは国家なのか」と考えてみる必要があるのだ。 韓国が“ちゃんとした国家”である、という前提で韓国を見るから、ちゃんとした国家としてのふるまいをしない韓国に対して腹を立てたり蔑視したりしてしまうわけだ。しかし、そもそも韓国とはちゃんとした国家なのだろうか。そうではない、と考えてみることから始めてみてはどうだろう。
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