「私が(官邸に)行かないことで何が遅れたのか」。米ハワイ沖で「えひめ丸」衝突事故が発生した際、ゴルフ場にとどまっていた当時の森喜朗首相は、取材陣の指摘にこう逆ギレした。ちょうど20年前の話。この発言を機に支持率が急落し、2カ月後に首相退陣に追い込まれた▼まさに口は災いのもとながら、反省は生かされなかったようだ。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などとした女性蔑視発言が国内外から反発や批判を受け、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を務める森氏が辞意を固めた。五輪準備の功績は認めるものの、当然の結果だろう▼この人の”失言”は枚挙にいとまがない。総選挙を前に「(無党派層は)関心がないといって寝てしまってくれればいい」(2000年)、「子どもを一人もつくらない女性を税金で面倒見なさいというのは、本当におかしい」(03年)…▼これらの発言の背景に見えてくるのは権威主義的な発想だ。先月の世論調査で8割が今夏の五輪開催に否定的という結果を受け「国民がどうしようかという時期になぜ世論調査するのか」と言い放った。市民感情は不要らしい▼今回の女性蔑視発言に抗議するため、ツイッターでは「#わきまえない女」のハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿が広がっているようだが、本当にわきまえなければならなかったのは、発言した森氏の方だった。(健)
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