サイドプレーヤーは『アクセル』
2月3日にキャンプ地の沖縄で、非公開で行なわれた札幌との練習試合は、45分×3本で3-3の引き分けだった。オンラインで報道陣の質問に答えたチョウ・キジェ監督は「自分たちがエネルギーを出して、J1だろうが、どのチームだろうが、僕たちとして攻撃的に戦おうという中で、非常に素晴らしいゴールが生まれた場面もあった」と語る一方で、「その裏返しで、まだまだ足りないところ、当たり前ですがJ1との違いも感じられた」と振り返っている。 3得点と3失点は、そのまま収穫と課題の表れのように見えるが、指揮官にとっては「選手たちがチャレンジした結果、(収穫と課題の)両方を感じたと思っている」ことの方が大きかったようだ。「チャレンジしなければ、もしかしたら0-0に終わっていたかもしれませんが、その0-0には何の意味もないと思っていたし、(前日に)選手たちにもミーティングで話していた」と明かし、「良いところと、足りないところが明確に見えたことが今日の収穫」と総括した。 もちろん、足りないところは改善していかなければならない。「ゲーム中、絶対にしてはいけないプレーが、まだある。僕の中で(勝つために)避けなければいけないプレーが2つ、3つ続いて、相手に攻撃のチャンスやシュートを与える、もしくは失点してしまうところが、まだ見られた」と指摘し、「勝つために何をしなければいけないか、選手自身が自立して、自分たちがグラウンドの中でそれをやらないという空気感を持たせることが大事だと、あらためて思った。これからまた選手たちに話しながら進めていきたい」と今後のプランの一端を明かした。 湘南ベルマーレでは2012年から19年途中まで長く指揮を執ったため、途中からは自身の考えや哲学が浸透した状態でチームづくりを進めることができた。「毎年、自分が思っている以上に選手同士で『そういうときは、こうすべきだろう』という暗黙の了解で積み上げることができた」と振り返っている。 一方で「逆にデメリットもあった」という。絶対にしてはいけないプレー、という点で言えば「それは本当にダメなのか、というところで突き詰めると、そうすれば安全だけど、チャンスにはならないよね、というところも、実はあった」という思いがあるからだ。ゆえに「安全にプレーすることが、絶対にやるべきプレーではない。リスクと、安全にプレーしなければいけないところとを総合的に判断した上で、選手がジャッジしてプレーできるようにならなければ本物じゃないと思っている」と続け、京都では違うアプローチで選手たちに植え付けていく考えを示した。 始動当初、各ポジションの配置よりも、役割が大事であることを意識づけさせるために、役割に名前をつけるプランを語っていたが、その一つを「サイドバック、サイドプレーヤーを『アクセル』と呼んでいる」と披露した。「アクセルを踏んで出ていく、アクセルを踏んで戻ってくるのが役割だよ、と」選手たちに伝えているそうで、「英語が多いので、全く覚えていない選手もたくさんいる」と苦笑いを浮かべつつ、新しいスタイルを浸透させる作業に心を砕いている現状をコメントしている。
サッカーマガジン編集部
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