専門家らによると、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)によって現金からデジタル決済への移行ペースが加速した。20年、ユーロ圏だけで非現金決済が推定8%増加した。同時にCBDC(中央銀行デジタル通貨)計画が各国で始まっているが、デジタル通貨は伝統的金融に危険をもたらす可能性があると考え、慎重な分析と運用実験を求める国家権力が関わっていることで、プロジェクトの進行には時間がかかっているという。
これら調査結果は、「デジタル通貨のリセット」と題する世界経済フォーラムのオンラインセッションで共有された。参加者の中には、「半分」以下のビットコイン(BTC)取引は「不正」行為に関与していると発言したことで無知を露呈したもの、クロスボーダーなプロジェクトではなく、国独自のCBDC政策を目指すように呼び掛けたものもいた。
中国清華大学の国立金融研究所長である朱民氏は、中国人民銀行(中央銀行)によるデジタル人民元の準備段階として、多くの政府機関が参加店舗で利用することができる少額のデジタル通貨を市民に分配するという小規模実験を行っていることに言及。
初期段階とはいえ、CBDCが平等性や透明性を高め、社会政策の円滑化を図る機能を備えているということはすでに明らかであると主張した。
民氏は「今後も多くの実験が行われるだろう。具体的なスケジュールはないだろうし、システム検査は慎重に行わなければならない。金融・公共サービスにおいては、セキュリティと信頼性が最も重要だ」と述べた。
今後のCBDCプロジェクトに伴い国家間に生じ得るリスクについて、シンガポール政府の上級相及び社会政策調整相であるターマン・シャンムガラトナム大臣は、「今われわれが対応している基本的な問題は、Eコマースの増加」とデジタルシフトによる業界構造の変化であると述べた。
同大臣は「Eコマースは今強い影響力を持っている。通貨業界はこの現実に追いつかなくてはならない」と述べた。
同大臣は台頭するデジタル通貨を「廃園」に例え、「優れた決済システムの構築に向けてしなくてはならないことは、多様な生態系を復元することだ」とし、その役目は中央銀行にあると主張した。
単一で多くの機能を備えたCBDCを望まない理由としては、「システム全体が一気に破壊されることはだれも望まない」と述べた。
シャンムガラトナム大臣は、「今の段階では中央銀行は選択肢を絞るのではなく、様々な考えを受け入れる姿勢でいるべきだ。決済システムは公共の利益であり、安全でなければならない。また、マネーロンダリングや不正行為を防ぐために透明性も求められる。約半数のビットコイン取引は不正行為と関与している」と述べた。
レポートにある通り、チェイナリシスによると全暗号資産(仮想通貨)取引のうち犯罪行為に関与した取引は19年の2.1%(取引高で214億ドル)から20年には0.34%(100億ドル)まで減少している。
シャンムガラトナム大臣はさらに、金融危機に陥った場合、消費者は法廷通貨を簡単にCBDCに移すことができるが、バンキングシステムに「大きな危険」をもたらし得ると述べ、デジタル通貨に対する規制の強化も呼び掛けた。
これらリスクとは別にCBDC発行を支持する意見として、ロンドンのシンクタンク、ODI(海外開発研究所)の所長サラ・パントゥリアーノ氏は、現在の金融システムには高い物流コストがかかることを指摘。発展途上国において特に顕著な傾向であるといいうが、先進国についても同じことが言えると伝えた。
パントゥリアーノ氏は、CBDCが持つまた別の利点として、現行の金融システムに存在する「ジェンダーギャップを縮める」ことができると主張した。また、「一部の国ではGDP(国内総生産)の約35%を占める送金を効率的に行う」こともできると述べた。
「CBDCを活用すれば、現存するシステムよりも早く、より安価な国際間の送金システムを構築することができる」と述べた。
同氏は最後に、「革新を妨げるようなことがないよう、規制機関が自ら革新を起こすことが大切だ」と述べた。
(イメージ写真提供:123RF)
https://cryptonews.com/news/davos-watch-tests-and-red-tape-may-slow-down-asian-cbdc-proj-9050.htm
This story originally appeared on cryptonews.com.
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