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Tuesday, July 21, 2020

子ども用の自作PC「Kano」が、Windows対応のノートPCになって帰ってきた理由 - WIRED.jp

シリコンヴァレーの夢想家たちは、あらゆる子どもがノートPCを抱えている世界を長いこと思い描いてきた。理屈の上ではうまくいきそうな話だが、実現はかなり難しいことがわかっている。

財政難の学校に販売できるほど低価格なPCでなければならないうえ、子どもという目移りしやすいことで有名な客層の注意を引くソフトウェアも必要だからだ。

教育市場には、スマートトイやロボット、アプリのほか、子どもたちをSTEAM学習関連の活動に積極的に参加させるための商品が溢れている。とはいえ、Kanoほどの成功を収めた企業はほとんどない。

よりパワフルに、より速く

Kanoはもともと、「Raspberry Pi」をベースにした、子どもでも組み立てられるDIYコンピューターキットを売り出していた。しかし、新たにマイクロソフトと提携したおかげで、Kanoは教育市場向けに低価格かつ高性能でWindowsも搭載した「Kano PC」を新たに発表した[編註:販売地域には日本も含まれている]。

修理もできるKano PCは新たな特徴を備えながら、カラフルで子どもたちが使いやすく、一部は組み立て式PCという従来の機種の魅力も受け継いでいる。

Kanoの最高経営責任者(CEO)アレックス・クラインは、Raspberry Piを採用しなかったのは現実的な選択だったと説明する。「学校はすでにWindowsにかなり投資していますから」と、クラインは言う。「子どもたちは『フォートナイト』で遊びたがっていますし、先生たちには『Microsoft Office』が必要です」

さらに速度の問題もある。Raspberry Piのコンピューターは低価格で順応性もあるが、教室で最も高性能なプロセッサーであることはまずない。

子どもたちや教師たちが頻繁に閲覧しなければならないウェブサイトや使用しなければならないオンラインツールは、大容量の「JavaScript」を使うので、Raspberry Piに搭載されているようなあまり処理能力が高くないチップだと、データの読み込みが遅くなってしまうのだ。Kanoのかつての機種と新しいKano PCとでは、読み込み時間の差は「歴然としています」と、クラインは話す。

マイクロソフトからの出資もKanoのビジネスにいい影響を与えている。最近、教育市場で「iPad」や「Chromebook」と競争を続けているマイクロソフトは、今回の提携によってWindowsを学校に導入してもらう新たな方法を得たことになる。

KANO PC

PHOTOGRAPH BY KANO PC

進化するPCと、変わらぬ理念

クラインは新しいKano PCについて、Kanoのコンピューターキットが生まれるきっかけとなったメイカームーヴメントに背を向けるものではないとする。むしろ彼は、これが「メイカームーヴメントの倫理とマイクロソフトのリーチとパワーの融合」だと考えている。

Kanoがコンピューターキットを販売し始めた13年、『WIRED』US版はKanoの製品を「子どもたちがコンピューターを自作できる期待にかなうキット」だと評した

当時のPCには、キーボードと配線、Raspberry Piのボードが付いており、子どもたちが自分で組み立てられるようになっていた。最初期のKanoキットにはディスプレーが付いていなかったが、次のヴァージョンには専用ディスプレーも加わり、コーディングを学べるソフトウェアツールとしての機能が増強された。

関連記事:子どもと一緒にコンピューターを組み立てられるキット「Kano」、ついに一般販売を開始

さらにその後、カメラとスピーカー、ピクセルボードという別売りの3つのDIYキットが新たに発売される。3つのキットはすべて、Kanoの基本理念に沿って構築された。つまり、自分の手でコンピューターキットに触れ、実際にコーディングを学ぶ経験を、STEAM教育の基礎にすべきであるというものだ。

関連記事:子どもがもっとコードを学びたくなるDIYコンピューター「Kano」の新たな仕掛け

この理念は、新しいKano PCでも健在だ。ノートPCは、子どもたちが組み立てられるよう部品の状態で届けられる。透明プラスティックの背面に内蔵されている回路基板や配線を、付属品の虫眼鏡を使って確認したい気分になるだろう。スピーカーやバッテリー、キーボードも接続可能だ。

KANO PC

PHOTOGRAPH BY KANO PC

修理できることの強み

組み立てパーツはランダムに選ばれたわけではない。いずれも教育的で、コンピューターの仕組みを子どもたちが理解するために役立つだけでなく、Kano PCのゴミ処理場行きを防ぐためにも大いに役立つ。

Kanoによると、学校の3分の1でコンピューターが修理されずに廃棄されているという。一般的に故障しやすいのは、バッテリーとキーボード、スピーカーの3つだが、どれもKano PCなら容易に交換できる。子どもたちにとっての学習体験が、学校にとってはサステナビリティのための試みになるのだ。

ちなみに新しいKano PCの購入層は学校だけではない。「米国では親が購入しています」と、クラインは言う。

子どもたちを引きつけ、常に楽しませ、さほど高額ではない300ドル(約32,000円)のノートPCを売り出すには、いまが絶好のタイミングだろう。新型コロナウイルスのパンデミックが続くなか、大半の親は子どもに常に楽しく遠隔学習をさせることは言うまでもなく、遠隔学習の必需品をそろえることにも苦労しているのだ。

Kano PCが、子どもたちにはSTEAM学習への魅力的な入口となり、親と学校にとっては購入や管理が可能なハードウェアとなる──。これにより、親や学校が抱える難問が解消されればと、クラインは願っている。

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