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Sunday, June 14, 2020

テニス「全米オープン」開催のため乗り越えなければならない問題 - livedoor

プロテニス界は今、再開への道を模索している。新型コロナウイルスの感染リスクを考える時、テニスそのものは対戦相手との距離が遠く、かなり安全と思われるスポーツだ。しかし大規模な大会となると、あらゆるリスクを考えなければならない。世界中から選手が集まるため、入国規制も大きな問題となる。

現在のスケジュールでは、次に開催されるグランドスラム大会は「全米オープン」だ。そしてUSTA(全米テニス協会)は、その実現に向けてあらゆる努力を続けている。「全米オープン」開催のために乗り越えなければならない問題について、テニス関連ニュースサイトTennis Tonicが報じた。

「全米オープン」はアメリカでも新型コロナウイルスの被害が最大であるニューヨークで開催される。だが状況はこのところ改善傾向にあり、地元でも大会開催が期待されている。それでも当然多くの制限が課されることになり、中には納得できない選手もいる。先日、選手たちとのZoomカンファレンスが行われたが、スムーズには運ばなかった。

予選は行わず、ダブルスの出場者数は半分以下に

主催者にとって最も重要な点は、会場に集まる人数をできる限り少なくすることである。そのため予選は行わず、ダブルス参加チーム数を64から24に減らす。結果として350人の選手が参加できなくなるが、参加できなかった選手のために200万ドル(約2億1,400万円)を用意し、それを分配する。だがダスティン・ブラウン(ドイツ)はTwitterで、選手たちには平等なチャンスがあるべきだと不満を表した。

選手に同行できるのは1人だけ

もう一つ、特にトップ選手たちから不評だったのは、選手に同行できるのは1人だけというルールだ。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は特にはっきりと不満を訴えた。彼は、重要なトーナメントには常に5人から6人からなるチームを連れて参加しているからだ。他にも、小さい子供を持つ選手は、家族と3週間以上会えないことに落胆の気持ちを表した。

空港の近くに宿泊

選手たちは空港近くのホテルに宿泊し、マンハッタンなどへ行くことはできない。この点に関しては賛否両論で、ここでも不満を表しているのは上位選手たちだ。ニューヨークを楽しめないし、通常なら行われるプロモーション活動もできない。だが、ランキングの低い選手たちはもっとサバイバル力が強い。世界43位のジョン・ミルマン(オーストラリア)は、いろいろと上手くいかなかった時は、電車の駅で寝たこともあると言う。彼にとっては、ニューヨークの高級ホテルに泊まれるなら出かけられなくても問題なし、ということだろう。

観客なし、報道関係者なし

そして大会は、無観客で、報道関係者も入れずに行われる可能性が高くなってきている。観客も報道関係者もいない大会は、ゴーストタウンのように見えるかも知れない。

また選手たちの移動を減らし、会場関係者の人数も減らせることから、「ATP1000 シンシナティ」も同じくニューヨークで連続開催できないかという案も浮上している。

本当に「全米オープン」は開催可能なのか?

無観客で行うとしても、今年の開催はまだまだ予断を許さない。そして、ビッグ3が出場しない可能性も高い。ロジャー・フェデラー(スイス)は、膝の再手術を受けたため今シーズンの残りは休養すると発表。ラファエル・ナダル(スペイン)は、現状のニューヨークに行くのはリスクが高すぎるとして、「全仏オープン」に照準を合わせるかもしれないと話した。そしてジョコビッチも、現状での出場を疑問視している。

昨年のチャンピオンのナダルにとっては防衛戦

ナダルにとっては、今年出場しないとなると別の問題も出てくる。昨年の「全米オープン」覇者である彼は、出場しなければ2,000ポイントを失うことになるのだ。昨年、彼はドラマチックなフルセットの決勝で、絶好調だった若手のダニール・メドベージェフ(ロシア)を7-5、6-3、5-7、4-6、6-4で下して優勝した。

セレナとアンドレスク

女子では、昨年準優勝のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、先にも述べた子供と3週間会えないという理由で不参加の可能性もあると言われているが、彼女は四大大会最多優勝のマーガレット・コートの記録にあと1と迫っており、その記録に追いつくには「全米オープン」が最も可能性が高いトーナメントだと言える。

一方、昨年の優勝者であるビアンカ・アンドレスク(カナダ)は、膝の負傷があってしばらく試合から遠ざかっていたので、この防衛戦を逃したくないはずだ。

※為替レートは2020年6月12日時点

(テニスデイリー編集部)


※写真は2019年「全米オープン」でのスタジアムからの様子
(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)

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