ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に笹川平和財団上席研究員の小原凡司が出演。北朝鮮が21日に弾道ミサイル2発を発射したニュースについて解説した。
北朝鮮のミサイル発射、国内でウイルス拡大の裏返しか
北朝鮮が21日に弾道ミサイル2発を発射したのは、北朝鮮国内でも新型コロナウイルスが感染拡大しているとの見方もあり、内部の引き締めを図ると共にミサイル技術の向上を目指す狙いがありそうとのこと。日本の防衛省は慎重に分析を進めている。
飯田)21日午前、北西部の平安北道から飛翔体2発が発射され、およそ410キロ飛行したということです。狙いは何でしょうか?
小原)いま、新型コロナウイルスが各国でいろいろな影響を及ぼしていると思うのですが、北朝鮮のミサイル発射もそれに関連していると見られています。アメリカの分析によると、北朝鮮は30日ほど軍の活動が停止されたということも言われています。北朝鮮国内でも、軍にまでコロナウイルスの影響が及んでいるのではないか、非常に深刻なのではないかという分析もあります。そんななか、金正恩委員長がマスクをせずに出て来ています。「北朝鮮はこんなに新しい武器を持って、それを金正恩委員長が主導して来たのだ。やって来たことは間違っていないのだ」ということを見せるのと同時に、軍に対しても引き締めを図るためだったのだと思います。
国際的に「北朝鮮はここにいる」と示したかった~国内的にも対外的にもミサイルを発射する必要があった
小原)もう1つは、国際的にアピールをしなくてはいけないということです。コロナウイルスをめぐり、また米中の対立が激化していて、メディア戦にまで発展しています。そのなかで北朝鮮問題の影がどんどん薄くなるということは、北朝鮮としては避けなければいけない。コロナウイルスで厳しい状況に置かれているなか、他国からもっと注目してもらいたいので、「北朝鮮はここにいるぞ」とわざわざ示したかったのだと思います。
飯田)「コロナを共に戦って行こう」という親書を、韓国へも送っています。一方でトランプ大統領からは、「援助をする」という親書が北朝鮮に送られているようです。
小原)個人的にいい関係があるのだから援助する、というニュアンスのことをトランプ大統領は言っていたのだと思います。ただ、援助を単にアメリカからされるのでは北朝鮮としてもメンツがありますから、その形をどうするのかという部分もあると思います。
飯田)それらを受け入れる前に、ある程度は国内を抑えておくためにも、ミサイルを撃たなければならなかったのでしょうか?
小原)そうですね。国内的にも対外的にも、ここでミサイルを撃たなければいけないという判断があったのだろうと思います。
飯田)一説には、何千人も隔離しているという話もあります。医療レベルを考えると、より深刻なのは北朝鮮ではないかという指摘もあります。
小原)日本でさえ医療崩壊の危機について言われているので、そもそも医療体制が整っていない北朝鮮で、新型コロナウイルスが蔓延したらどうなるのか。そういうところも含めて金正恩委員長は、国内は大丈夫なのだということを示したかったのではないかと思います。
飯田)また、ミサイルそのものも410キロ飛行したと。弾道が違うというような話もありますが。
小原)短距離弾道ミサイルなので、排他的経済水域には届いていないということですけれども、弾道を変えて飛べるとなると迎撃は難しくなります。このような技術を北朝鮮が確立すれば、日本にとって撃ち落とすのが難しいミサイルが、北朝鮮に存在するということになります。
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