2017年2月、ニューヨークでは、オバマ政権時代に認められたトランスジェンダーの学生が校内で自身のジェンダーアイデンティティに合ったトイレを使用できる権利を、トランプ大統領が覆したことに反対するデモが行われた。Photo: Spencer Platt/Getty Images
※Vol.1はこちら。
オフィスに戻りながら、私は気がついた。上司や父が私に対して示してくれたものは「受容」で、私が受け取ったのは「許可」だったということを。では、この2つの違いは何だろう。
私は、確固たる自信と強さから来る「これが私だから、受け入れてほしい」というありのままの私の受容を求めた。そして上司と父は、私の話を聞いて「OK」と答えたわけだ。しかし許可とは、本来「変化」が必要な時に与えられるものだ。今回の場合、私は彼らの「OK」を「私たちは、あなたがそうすることを許可します」という意味に受け取ったのだ。
実際、ほとんどのケースにおいて、LGBTQ+の人々がカミングアウトする時は「自分らしくあるための許可」を求めている。それは往々にして、非常に屈辱的に感じられる行為だ。自分がトランス、または、クィアであることをカミングアウトする時、カミングアウトされる側にしてみれば、「私という人間を受け入れてほしい」と求められているように感じるかもしれない。でも、実のところは「私という人間を認識し、そのことで私に干渉しないでほしい」というのが本音なのだ。
以前に比べてカミングアウトしやすい環境にはなったものの、自分を変えようとしたり、傷つけたり拒絶したりしないで欲しいという気持ちが消えることはない。なぜならそれらは、トランスジェンダーの人たちが最も恐れていることだからだ。
奇妙なパラドックス。
第71回エミー賞授賞式のパープルカーペットに降臨した女優のMJ・ロドリゲス。Photo: Getty Images
© Steve Granitz
この世界では、いつも誰かが周囲の人から許可を得たり、承認してもらおうとしている。トランスジェンダーである私たちもそうだ。今の自分であることは揺るぎない事実であり、誰かが私たちに生きる許可を与えてくれなければ、暴力の危険にさらされることにもなる。
私が決められることではないけれど、できることならば、二度とカミングアウトしなければならないという状況に陥りたくない。そして、カミングアウトの必要性に対しても腹立たしく思う。そこには、なぜ生きる許可を求めなければいけないのかという苛立ちと、それが生き残るためには必要なのだという奇妙なパラドックスが存在している。
確かに、トランスジェンダーの存在は、以前に比べても随分と可視化されてきた。ション・フェイやトラビス・アラバンサ、ジュノ・ドーソン、アロック・ヴァイド・メノンといった先人たちは、私が自らのジェンダーに起きていることを理解するための「言葉」を与えてくれた。けれど今でも、クィア以外が大勢を占める(と少なくとも思われている)社会の、私たちに対する好奇の目に触れるたびに、自分がトランスジェンダーであることに恐怖を感じるのだ。
トランスジェンダーの女性であることを公表した作家のジュノ・ドーソン。Photo: Getty Images
トランスジェンダーの存在感の高まりとともに、トランスフォビアが至るところで広がっているのも事実だ。この議論の中心にあるのは、怒りや嫌悪。私たちのような人間にとって、今という時代は非常に混乱した時期であり、以前よりも解放されたと感じると同時に、より標的にされているという気持ちを禁じ得ない。トランスジェンダーの人々の中には、MJ・ロドリゲスのように賞を受賞したり、ウォシャウスキー姉妹のように数百万ドルの映画を監督する人もいるのに。
「TERF」と呼ばれるトランスジェンダーに排他的な原理主義的フェミニストたちは、トランスの女性を攻撃し、蔑視するために、プライドパレードを侵略した。トランスジェンダーの女優、ラバーン・コックスが雑誌の表紙を飾る一方で、アメリカでは昨年、トランスジェンダーの有色人種の女性18人が殺害されるという、痛ましい事件が起きた。
※Vol.3へ続く。
Text: Erin Paterson Photos: Getty Images
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March 31, 2020 at 05:00PM
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なぜ生きる許可を求めなければいけないのか。【カミングアウトから得た教訓 Vol.2】 - VOGUE JAPAN
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