100ページ以上に及ぶこの報告書は、昨今のクラブ、ボールのテクノロジー進化によって、飛距離がどれほど伸び続けているか、そしてそれがゴルフにとってどれほど危ういことかを示している。
「ここ数年の話をしているのではない。ずっと先の未来、100年後を考えなければならない」と、USGAのマイク・デイビスCEOは訴える。
R&Aのマーティン・スランバーズCEOも「今、重要な局面を迎えている。飛距離に頼るゴルフでは、技術が試される本来の面白みがなくなってしまう」とコメント。
飛距離が伸びることでコースも伸ばされ、現在では米PGAツアーのコースは7500ヤード超え。こうなれば水や肥料、木も伸ばされ、どんどん維持費がかさむことになる。距離が長いとそれだけプレーに時間がかかることになり、結果としてプレー費も値上がりし、ゴルフ人口の減少の大きな要因となってしまうことも予想される。大変困った事態というわけだ。
そこで浮上しているのがゴルフ用具のダブルスタンダート化。つまりツアープロとアマチュアなどで規制を別にするというもので、これまで頑なに守ってきた「あくまでも一つのルールに則る」という建前を大きく方向転換する動きだ。
タイガー・ウッズは「二分化されて影響のある用具を使用するのはわずか1%のゴルファーだけ。ゴルフは楽しめるものでなければならないし、子供たちにもっとプレーをしてもらいたい。このままいけばコースは8000ヤードになる。土地のない今はもう不可能だ」と、ダブルスタンダードを肯定する。しかしアマチュア競技やプロを目指すゴルファーはどうするのかなど、ことはそう簡単ではない。
45日後にはより詳細なリポートが発表される予定で、その後も幅広く意見を求めるという。昨年は大きなルール変更があったばかりだが、もしかすると、用具においても近くドラスティックな変革がなされるのかもしれない。
(在米ゴルフジャーナリスト・武川玲子)
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February 21, 2020 at 03:00PM
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