少子高齢化の影響で就労人口が減少している昨今、多種多様な人材登用および職場の労働生産性向上のために、テレワークや時短勤務など従来とは異なる就業体系への対応、コラボレーションツールの導入などが必要とされている。こういった話題は、行政やメディアなどを通じて広くアナウンスされている。しかしITツールは有用性の高さが認められているが、導入するだけでなく積極的な利用をするような組織文化でなければ意味がないようだ。
総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究報告書」によると、ビジネス用ITツールの導入有無と職場の働きやすさに「統計的な有意差は認められない」としている。その一方で、ツールを「積極的に使っている」と回答した回答者は、その他の回答者よりも働きやすさへの評価が高かったという。では一体、どうすれば積極的に使用する組織文化を実現できるのだろうか。
「Trello」や「Jira Software」などオープンコラボレーションツールを提供するAtlassianでワークフューチャリストを務めるドミニク・プライス氏は、組織改革の大きな壁として「従来型企業のヒエラルキーが課題だ」と指摘する。
「働き方や事業改革に取り組む上で重要な問題はツールだけでは解消できない。まず解決しなければならないのは、権力構造や指示命令系統が一点に集中しているピラミッド型のトップダウン組織文化だ。このような組織文化のままではたとえツールを導入しても働き方や事業改革に取り組むのは難しい。働き方改革は『効率性』が重視されがちだが、『有効性』の実現を求めて実施しなければ遂げられないだろう」(プライス氏)
日本のツール活用とそれに伴う組織文化の変容に詳しいアトラシアン社長のスチュワート・ハリントン氏は、「ツールが先か文化変容が先かという問題だ。どちらも達成されないと改革は難しい。日本はグローバルと比較して一筋縄ではいかない部分もあるが、だんだんと変化しつつある」と話す。ツール導入だけではない、組織文化と働き方の改革が日本でも起こることに期待したい。
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February 14, 2020 at 06:00AM
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